目次へ   第40回くにさき半島春期トレッキング
sub3-91 2011年4月29・30日 文字は、の等巾フォント(MSゴシック)でご覧ください。

(株)ビッグファイブ 桜木社長の出発式

ちょっと誘われて、「じゃ、行ってみようか」・・なんて、気軽な気持ちで参加した。昨年5月に同じコースを歩いているので、大した不安は無い。ただ、皆さんの気合いの入れようが私へのプレッシャーとなる。

わたしは、靴とズボンはそれなりに気合いを入れたが、シャツは何時のも草刈りウエア。まっイイか。これで怖じ気づくのも・・・と言うことで、気分をほぐす。

道はしっかり記憶にあるし、どこにどんな難所があるかもわかってはいるが、問題はスピードである。ついて行けるか、これが心配。

スタート地点の両子寺(ふたごじ)は新緑まぶしく、私たちの出発式を見守っていた。

さて、昨年の5月に同じコースを歩いた。コースの紹介は、それに任せて、今回は、ちょっと違った感想などを書いてみよう。

2010年5月22日をクリックしてください。

先ずは、参加者の皆さんを観察しよう。よく見ると、昨年5月に一緒に歩いた顔が見える。ただ、残念な事に、お元気ならこのトレッキングに参加されたであろう寺尾さんの顔が見えない。寺尾さんは1月に法華院温泉でお亡くなりになったと聞いた。寺尾さんは、2010年の峰入りを78歳の参加者最高齢で完歩され、満願を果たした。10年後の峰入りも歩きたいと言われていただけに残念である。ご冥福を祈ります。

両子寺から、殿様街道と言われる道を歩く。足下にアスファルト舗装の道が見え隠れするが、それを見ないように歩く。途中イノシシがミミズやタケノコを掘った穴が沢山あいている。孟宗竹のタケノコは、イノシシ君が食べ飽きた残りを人間がいただくしかない。

やがて、お殿様の見晴台に到着した。良いお天気ならすばらしい景色が望めるそうだが、本日はやや黄砂で霞んでいる。
小高い尾根に参加者30人あまりが立つと見晴台からあふれそうに見える。私は、絶景よりその様子を楽しんだ。

少し汗ばみ乾いた喉を持参した水で潤し、思い思いに休憩をとる。倒木や石ころに腰掛けたり、木に持たれたり、木々の青葉を楽しんだり・・・

時折、ヒステリックな鳴き声を頭上に響かせる。誰かがこの鳴き声をキビタキと教えてくれた。

新緑の間を通って吹く風が気持ちいい。

お殿様の見晴台から急坂を下り、舗装道路に出る。舗装道路脇にワラビを見つけて早速ワラビ狩りが始まった。

ここからは、とても急なコンクリートも道を下る。少々の健脚でも膝が笑うくらいきつい。私は、靴の紐を締め直して、さらに、ジグザグに歩いて下った。皆さんは、歩きなれているのか、さほどのきつさを表さず、しゃべりと景色を楽しみながら下っていく。

道の両側には青葉を出し始めた木々が私たちを癒やしてくれる。アケビの花が沢山咲いている。アケビの実頃に来てみたいが、その頃まで覚えているだろうか。

そんなことを考えていたら、頭の上でキビタキが笑うように鳴いた。

林の中の道に沿って小川が流れている。のぞき込むと透き通った水が流れている。その斜面の上の林の中には立派な石垣が見える。
この石垣は小川のせせらぎを引き込んで水田としていた名残だろう。
機械化が進み、機械の入らない山間の田んぼは耕作者に見放されて、植林されたのだろう。

国東半島の、山間の小さな農地の稲作で比較的豊かな収穫を得ていた。山間の清流と落ち葉から得られる腐葉土が豊かな収穫をもたらしていたと聞いた記憶がある。

化学肥料と機械化が平地の稲作を可能としたことから、人力に頼る山間地の農業を衰退させた。

今なら、二次的景観保護等という言葉と補助金で残したい風景だったかもしれない。今見える石垣もやがて木々に飲み込まれて消えてしまうのだろう。

この道も殿様街道と呼ばれ、杵築班の殿様が国見までの道としたと伝えられている。急な下り坂の途中には、石を敷き詰めた石畳が残っている。

やや荒れてはいるが、殿様が歩いた石の上を私たちも歩く。
元気な皆さんは、殿様の石畳など目に入っているのだろうか。

やがて、京乱(きょうらん)地区に出た。
ここの見所は、成仏観音寺跡、あるいは、朝日観音堂跡と呼ばれる場所に建つ宝篋印塔と道標石である。

私は、少々遅れ気味の後尾を歩いていたので、それを横目で見ながら通り過ぎた。

ここで少し休憩して、堂の下林道沿いの道を歩いて清滝観音堂へ向かう。


ここから清滝観音堂の参道入り口までは、あえて旧道を歩く。
民家が3軒ほどあるが、人の気配は1軒のみ。やっと歩けるほどの道を野バラのトゲを掻き分けながら上っていく。

数分で並行している舗装道路へでる。さて、ここからが今日の難所。急な舗装道路が2km程続く。
そんな難所を避けて舗装道を文珠仙寺まで歩くコースを誰かが説明した。されど、清滝観音堂から文珠仙寺までの山岳道が今日のきもどころでもある。そう思い、つらいコースをあえて上ることをお勧めした。

少々つらいが、マイペースで上れば・・・そう勧めた私が一番へばっていたように思う。

清滝観音堂

心臓が止まりそうなほどの長い長い坂道の先に清滝観音堂がありました。ひたすら、足下との睨めっこで一歩一歩足を持ち上げて・・・

気がつけば、皆さんはどんどん先へ行ってしまいます。

やがて気がつけば目の前に石段があらわれて、その石段でやっと上を向く。その目の先に清滝観音堂の御堂が見えた。

皆さんは、すでに清滝の水で乾いた喉を潤している。私もその石段を這い上がって冷たいわき水を汗ばんだ禿げた頭に掛けて、渇いた喉を潤した。

新緑を通して降り注ぐ優しい光と新緑が冷やした風が気持ちいい。

清滝観音堂で一休み 紫竹観音への道を歩く

少しながめの休憩をとって、紫竹観音への道を辿る。少々道無き道となるが、熟練ガイドさんの案内で迷うことなく進んでいく。
岩場の厳しい道や急坂の上り下りが山歩きの楽しさを味あわせてくれる。清滝観音堂までの喘ぎが一気に解放されて気持ちいい。


紫竹観音

やがて、紫竹観音へ到着。鬱蒼と茂る薄暗い森の奥に小さな祠に納められた紫竹観音。

皆さん何を祈った野でしょうね。私は、世界平和と福島原発の沈静化を願いました。

さて、紫竹観音さんの云われは?

ここからの道は、一挙に楽しさを増す。尾根に上がれば眼下の絶景が一望できる。また、奇岩の山も姿を現す。

少々荒々しい岩場をよじ登り、峰入りの際に架けたハシゴをよじ登ったりと、ワクワクするコースが待ちかまえている。

誰かが杖を谷に落とした。う〜ん、どうしようか?まあ、とれない谷ではないので、滑り落ちながら杖を拾いに谷へ下る。竹の杖を拾い上げたが、一体誰が落としたのだろうか?

画像は、2010年4月の峰入りで天台の僧たちが歩くために架けたハシゴをのぼる私たちである。少々頼りないが、このハシゴ無しでは道は途切れてしまう。


やがて、尾根に出て、文珠山の山頂に辿り着いた。

文珠山の山頂には小さな祠の風神様が祀られている。ここからは、周防灘に浮かぶ姫島や、五辻不動などが一望できる。
晴れて視界がよければ、周防灘の向こうに山口県を望むことも・・・

時刻は、お昼少し前。文珠仙寺で今日の昼食が待っている。

空いたお腹の事など忘れさせる絶景をしばし楽しんだ。