目次へ 両子寺から千灯を歩く
sub3-88 2010年5月22日 文字は、の等巾フォント(MSゴシック)でご覧ください。


突然のお誘いをいただいて出かけた。甘い言葉の誘いは、「国東半島トレッキングコースを覚えておくと良いので行かない?」・・・だった。

そう、もしかしたら、何かの役に立つかも?と思って、「参加します。」と元気よく返事をした。

家に戻って、準備をしながら考えるに、つい先月、国見の山本さんに案内していただいたコースに、さらに、両子寺から京乱までが付録している。前回は、19kmで7時間だった。さて、今度はどうなるのだろうと、少々不安に思いながら準備を整えた。

出発当日、少々重そうな雲に覆われている。頑張って歩こう。集合の9時前に到着すると、結構な高齢者・・でも、強者揃い。ますます弱気になる。

両子寺(ふたごじ)の護摩堂前で、出発式を行い、両子寺の寺田豪淳副住職に安全祈願をしていただき、元気に出発した。

少し参加者を紹介すると、峯入りを満願した強者が5名ほどとの噂。新聞等で紹介されていた、78歳で満願した一般参加者の寺尾さんや、一般参加者をサポートして駆け回っていた大分市の住職等々。もちろん、我が会長の小林さんも・・・

それから、国東半島のトレッキングコースを開いた故虎熊祐さんの息子さんも参加されている。

私の目標は、「何とか完走」とした。



両子寺から京乱(成仏)

両子寺の境内から参道を下って、大きな仁王さんを過ぎ、無明橋を渡って、最初も民家手前を左に折れる。(トレッキング標識bP)

ここからは、山の中のトレッキングコースとなる。鬱蒼と茂る杉林の中をウグイスの声に励まされながら歩く。

この道は殿様街道跡と呼ばれ、途中、五辻や姫島が見渡せる見晴台跡もある。

左の写真は「成仏越」の峠にある「殿様の見晴台」。杵築藩の殿様が国見までの道として通ったのだろうか?

今日は、霧と黄砂で五辻の山がかろうじて眺望できた。

殿様の見晴台を下ると県道455号線と交差する。

トレッキング標識bU・・ここまで1.8kmを歩いた。時間は9時41分。両子寺から41分歩いた。

ここから、県道を横切って、東北東へと急なコンクリート道を下って行く。途中、杉や檜の森だが、至る所に石垣の跡が見える。何十年か前は、田んぼだったのだろう。谷川には澄んだ水が流れている。
トレッキング標識bU
ここから、少し下ったところに成仏寺がある。
私達は、成仏寺へは立ち寄らず、文珠仙寺の途中にある清滝観音堂を目指す。

京乱(成仏)から文珠仙寺

京乱から、堂の下林道沿いのトレッキングコースを歩く。数百メートル歩くと堂の下林道に出る。そこから、清滝観音へ通じるコンクリートの道をひたすら上る。先月、山本さんと歩いた道だが、今日は歩く速度が速い。その上止まらずに歩く。

急なコンクリートの登りは、ひ弱な足の筋肉の動きを金縛り状態にしていく。トレッキングステッキを突っぱりながら必死について歩くが、どんどん置いていかれる。もちろん、78歳の寺尾さんはその後ろ姿さえ見えない。

途中、犬鼻峠を通って両子寺へ通じる道があった。京乱から1.5kmほどで清滝観音へ到着した。トレッキング標識bP2。時間は、10時50分。

清滝観音堂は千手観音を祀っている。 今日のガイドの木田さんと小林さん、寺尾さん

清滝観音堂でちょっと休憩。冷たい湧き水で渇いた咽を潤した。

ここから少し上って、下ると鬱蒼と茂る森の中に紫竹観音が祀られている。清滝観音堂から紫竹観音まではかなり厳しいが400mか500m程だったと記憶する。

ここまでの道のりを信仰のために上り来るのか、それとも、杵築と国見を結ぶ道の通行安全を願って祀られたものだろうか。

ここから、更に急な坂を木の枝につかまりながらよじ登り、更に木の枝を針金で縛り付けた梯子を上ると目の前にとんがりコーンの様な山が現れる。風神様までは紫竹観音から500m。風神様の歓迎か、風が強くなった。


文珠仙寺の裏に聳える山の天辺に祀られた風神様に到着しました。

11時50分文殊仙寺に全員無事到着しました。ここで昼食です。
峰入りで大先達を努める秋吉住職と大越家を努めた副住職が迎えてくれた。

思い思いの場所に腰を据えておいしい弁当をいただきました。

昼食後は、峰入りを満願した一般参加者最高齢の寺尾さん(78歳)の話を伺ったり、住職にお願いして一緒に記念撮影をさせていただいたりと楽しいお昼休みの一時を過ごしました。

寺尾さんは、10年先の峰入りにも参加する勢いでした。私も参加しようかな。

中央は、78歳の寺尾さん。右端は峰入りで
大越家を努めた文殊仙寺の副住職。
文殊仙寺住職と木田さん。


文殊仙寺から千灯

12時45分文殊仙寺を出発。文殊仙寺の荒積みの石段を下って、少し下ると、左方向に素堀のトンネルが現れます。このトンネルを潜り、程なく簿のところからトレッキングの標識(bP7)に従い、右に下ると石畳の残る殿様街道。

殿様や武士たちが歩いた道を歩き、山口の池下を通って岩戸寺を目指す。

画像は、石畳の残る森の中の殿様街道です。

ウグイスの鳴き声と心地よい風とマイナスイオンが足取りを軽くしてくれる。(13時4分)

1時20分に山口の池に到着、1時37分岩戸寺へ到着しました。岩戸寺では住職の出迎えを受け、お茶をごちそうになりました。

岩戸寺の住職(右) 岩戸寺の境内でお茶をいただき休息の一時

1時53分岩戸寺を出発。尾根を超えて五辻不動尊を目指します。特に難しいコースではありませんが、見所のない単調な山道となる。

結構な距離を歩いて、少々足腰の筋肉に乳酸がたまり始めたが、まだまだ行けそう。前回よりも調子が良い。

「右不動尊ヲヘテ千燈二至」の道しるべがあった。前回はこの標識もトレッキングの標識も見落として、2kmほど迷走した。おかげで、狸や蛇に出会えた。

倒木の下を潜って進むが、背中に背負ったリュックが引っかかってなかなか難儀する。そこを過ぎると森の中の道をひたすら上る。少々急な最後の斜面をはい上がると尾根に建てられた休憩小屋に出た。ここで一休み。

2時50分五辻不動尊へ通じる馬の背と呼ばれる場所下へたどり着いた。
相当な岩場の急斜面を上る。へとへとの私は、上っては振り帰りを繰り返しているが、78歳の寺尾さんは黙々と上ってくる。止まることはない。何というパワーだろう。

峰入りでは、五辻不動尊から馬の背を通って、岩戸寺へ向かった。今日は、その逆のコースを辿って五辻の不動尊を目指している。

3時五辻不動尊へ到着 御神酒をいただいて気持ちいい風に吹かれて・・

仁聞入寂の岩屋

旧千灯寺仁王

ここからは、奥の院、五輪塔群、旧千灯寺、西行戻しを通って千灯へ下るのみ。あと一息を歩く。
のぼりもきついが、少々くたびれた足の筋肉は、下りの踏ん張りに耐えかねてぶるぶると震える。これを「膝が笑う」などと表現するが・・なるほどと納得する。

再び鬱蒼と茂る森の中の道を下り、五輪塔群へ向かう。ここには山稜石と呼ばれる仁聞菩薩の墓がある。

さらに森を歩き奥の院にたどり着く。仁聞入寂の岩屋や壁画(阿弥陀来迎図)などの見所がある。

ここを下って、旧千灯寺の仁王さんに挨拶して、西行戻しを通って、伊美川に出た。これで今日のトレッキングを終えた。

    終了16時10分、総歩行距離16.537km