さて、今日の最終目的である「一望岩」を目指す。少々落ち葉で滑りやすい急斜面を30m程上り、左へ廻りながら一望岩を目指す。
道とは言えど、名ばかりで、足の幅よりはやや広いふわふわした木の根ノ上に落ち葉が堆積しただけの様なところを歩く。壁に生えた木を捕まえているから落ちやしないだろうが緊張する。
遠くに鷲巣岳が見える。この面の突き当りあたりから、さらに上方向へ木々につかまりながらほぼ垂直と感じる藪壁をよじ登っていく。
ルートを示す赤いテープのしるしを見つけながら、身の安全第一に登る。 |
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やがて、天辺とおぼしきやや平らな場所に出る。目の前には、大きな岩が立ちふさがった。
この大きな岩を一望岩と呼ぶようだ。
一望岩には、丸太に切り込みを入れた梯子とその脇に小さな枝のある2本の木が立てかけてある。さらに、真新しい黄色いロープが下がっている。
これを拠り所に岩に登るらしい。自信が無いので、右手方向のテラスから下界をのぞく事にした。
さて、ここまで来たが、一望岩から野眺望は実現するのだろうか? |
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多いな岩の右手に方向のテラス先端へに向かう。立ち枯れて倒れた松の木を押しのけてテラスの先端へ向かう。
私の場合、比較的視野が狭いので、足もとしか見えず、歩いているときには恐怖感を感じない。
テラス先端に出て、目の前に広がる景色に目をやった途端足が震えた。
足元は垂直に切り立ち、そこから直下の谷底を見ることはとてもできない。ややへっぴり腰で谷底から向こうを見渡す。
絶景!どこがどこか、そんなことを考える余裕は無い。手当たり次第にカメラを向けてシャッターを切った。少々震えながらファインダーもいい加減に確認せぬままシャッターを切り続けた。 |
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画面中央の松の木の手前が一望岩・・・右手のテラスから撮影
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少し落ち着いたところで、再び一望岩のロープの前に立つ。このロープは、国見町の知り合い先日取り付けたもの。丸太の簡易的な梯子は、某写真家さんが撮影のために付けたものと聞いた。
あくまでも自己責任でこの梯子やロープを使う事。もしもロープが切れたり、梯子が折れて怪我をしても、己の責任でしか無い事を肝に銘じて行動すること。口−プも梯子も、たまたまそこにあった石ころと同じと考えて欲しい。
カメラを背中に回して、ロープをつかみ、腰から下を無重力状態にして丸太の梯子に足をかけ、一気に腕で引き上げる。何とか石の出っ張りに取り付いて、さらに体を引き上げた。大きな石の上に立つと、360度のパノラマが広がっていた。絶景だが、足がすくむ。
背中のカメラを前に回して、シャッターを切りまくる。 |
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パノラマ(画像をクリックすると特大パノラマ)
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少し落ち着いてきたと理解し、一望岩の周りからの景色を楽しむ。遠くに夷谷温泉や西狩場の割れ石が見える。その間に、中山仙境も見えるが、馬の背や高城はどこだろう。ここからも写真を撮りまくった。後でゆっくりと画像で景色を楽しむ事にしよう。
そろそろ下りようとしたら、目の前に黒い実を付けた木がある。子供の頃食べた事のある「コメジヤカキ:米榊」では?と思い、一つ口に入れてみる。間違いない。甘酸っぱい、ブルーベリーに似た味は、コメジヤカキだった。少々腹もすいて、のども乾いていたのでうまかった。このコメジヤカキには鹿も気が付かなかったのだろう。足元には鹿の糞が転がっていたが、これを食べた跡は無かった。
登り来た道を慎重に下る。落ちたら人に迷惑をかける事になるし、まだまだ多くの時間を楽しみたい。慎重の上にも慎重に下る。 |
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コメジャカキ
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夷耶馬の馬ノ背?
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遠くに見えた西狩場の割れ石
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画像左端の谷は夷温泉 手前は一望岩の表面 |
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中央向こうの谷は、西狩場・・割れ石が見える |
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再び後野越の峠に戻り、来た道をのんびりと引き返す。
帰りの道、苔生した棚田の石垣下の里道を歩きながら、私と同じ様にこの石垣を見て歩いた人々の生活を思った。
厳しくも、この世界しかなかった人々は、ここでの生活が常であり、苦しくも貧しくも、そんな物差しさえなかっただろう。
なにが人を都会へ向け、辺境の地の過疎の始まりとなったのだろうと思う。仕方ない流れだが、それで幸せになれたのだろうか?なれるのだろうか。
ますます、その傾向は強くなっていく。この里も、国東半島すべての里の行く末が気になった。
往路1時間10分、一望岩30分、復路30分の行程を楽しんだ。まあ、寄り道が多く、そのうえマイペース以下のトレッキングだったが、このコースで気になっていた事がだいぶ解決した。 |
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トレッキングの立て札は、後野越まで1kmと書いてあったが、GPSロガーは往復4kmと記録されていた。 |
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