文字は中でご覧下さい。

kebesu-s33w-p1
白地 黒地
 岩倉社祭典 昭和33年 古江下組トウバ時の記録

当場渡し 
 旧暦12月末
    年の夜
 トウバもしくはトウバグミ:櫛来地区内の12
組(区を構成する下位組織)中の当年祭事を担当
する組。・・・年毎の持ち回り。



ハツマツリ
 旧暦正月以降
トウジ、トウジの
    スケ人選
 ハライ(祓)のクジで決める。
 トウジ:アマザケの仕込み係り、トウジのスケ
(その助手)。

米5合と白紙の取
     り集め
 櫛来地区全戸より白紙、米を取り集める。白紙
は、お供え餅に敷いたもの、マトウチの的に用い
る。

甘酒の仕込み  トウジとトウジのスケにより、組長宅で甘酒が
つくられる。

注連縄つくり他  昨年の新藁(モチ藁)を用いる。


 旧暦1月初丑
  の日の明方
甘酒の運搬  甘酒をニナイ(担い)にいれて、トウバモトの
人々が本殿の御供所へ運ぶ。

注連縄張り  トウジとそのスケは御供所に注連縄を張る。

甘酒わかし  トウジとそのスケは、御供所で甘酒をわかす。

タガミサマつくり  径1寸くらいの握り飯を全戸分握る。回廊に全
戸が並んだ際に配られる。

お供え  宮付きのお供え係とそのスケが中心にお供えを
供える。お供えは明神様中心、タノモノと呼ばれ
る籾。前年の新嘗祭で神社に出した新米の籾。


 ハツマツリの
    始まり
玉串奉奠  10時ごろから神主、区長3名、総代5名、ト
ウバモト代表1名が玉串を奉奠する。

御田植え  本殿右手、明神祠前の桜の木下から神主が供え
られた籾種を撒く。宮付きの家の者がチョウメギ
でつくった先が鍵の手に曲がった鍬で二回かさぐ
仕草を3回繰り返し、終わると桜の木に鍬を掛け
る(早く掛けると年の仕舞いが良い)。

直会(なおらい)  神主、宮付、区長、総代が出席し、トウバモト
は接待役となりトウバモトの用意した雑煮と神酒
(甘酒)を振舞う。

的清め  神酒は、はじめ宮付で御供所係のスケ、並びに
山の神付の一川氏に注がれる。一口飲むと、席を
立って神主と共に馬場に立ててある的を清めに行
く。

四方固め  2杯目を飲んで、一川氏は的の根元まで行き、
明きの方から日の回る順に四方に矢を射る。最後
に大的を射て、戻って三杯目を飲み、直会を終え
る。

的射ち  祭りの前日トウバモト組長宅で弓矢をつくる。
西から東へ向かって射る。宮庄屋、宮付の鉾立、
大宮司株、小宮司株、オミチュウド2組の6人が
大的を射る。その後、的に蔦をかけて、一般の宮
付とトウバモトの人が射る。

オンバレマツリ
  2週間から
  10日前


オトウバの麦集め  トウバモトから2名が各組に出向き、「オトウ
バの麦を集めに来ました。」と言い、各戸5合も
らう。
 トウバモトの各戸は1升出す。
 トウバモトは、トウジ・トウジのスケ・賄方・
オカヨ・オカヨのスケ各1名を籤で決める。

 酒つくり  トウジとトウジのスケは、集めた麦で麦麹を作
り、祭りの前々日に麦酒のつくりこみをする。
ヨド(祭りの前日)の朝、絞って神社に運ぶ。

ヨドの行事
     午後5時
 宮付、区長総代、トウバモトの代表のオカヨが
出席する。
 拝殿に着座し、宮付の大宮司祓言葉、小宮司が
御祓いし、お供えを供える。
 お供えは、三宝にお神酒、魚、野菜、水と塩な
どで、宮付が手渡しで運ぶ。
 お供えが終わると、神主、区長、総代、トウバ
モトの順で玉串を奉奠する。

直会  神主、宮付の大宮司、小宮司、若宮付、高良様
付、お供所係、お供所係のスケ、オミチュウド、
楽士、鉾立の順に列席。膳は、トウバモトが準備
した刺身、野菜の煮しめ、ご飯、味噌汁、麦酒。
給仕は、トウバモトの若衆が担当する。

 旧暦6月の最後か
  ら数えて2日目
       9時
オシタテ  御供所でオカヨ、オカヨのスケ、御供所係、そ
のスケ、大宮司、小宮司の6人でオゴクを蒸す。
蒸されたオゴクを御供所係がミシャクジでひと盛
し、オカヨが崩れないようにし、御供所係が三宝
に載せる。

 お供えは、一尺五寸に一尺の三宝を本殿は3つ
(本殿の3神体)、若宮は一尺角の三宝を4つ、
明神に1つ、高良様には2膳盛りの三宝を2つ、
山の神に2膳盛りを1つ、拝殿と申殿の境にある
左大臣、右大臣にそれぞれ1つ、お供所のジンド
ウサマの面に1膳を盛る。

チノワ 
人形つくり
 大宮司と小宮司が径5寸のチノワクグリの輪を
3つと真茅の人形を3体作る(揃えた3本の茅を
二つに折り人形とし、その人形を三つ合わせて一
つにし、さらに、これを三つ合わせて一つの人形
とする。これを3体つくる。・・27体の小人形
を作り、これを3体まとめて9体の人形とし、さ
らに、3体まとめて大きな人形3体とする。)

 マクワウリを輪切りにし、それを茅でぶら下げ
る。

※以上の作業は口に含み柴をし無言でて行う。

 完成した御供えは、ヨドの時同様、手渡しで本
殿に供えられ、神主の祝詞の後下げられる。

浜殿へのオミユキ

 神輿への神移し
 オミチュウド(神輿担)が神輿を申殿に上げ、
3つの神輿に、神主・大宮司・小宮司の手によっ
て、御神体である鏡が移される。
 3つの神輿は、オミチュウドの手により中庭に
並べられる。
 神輿には、トウバモトの若衆により柄の長さ9
尺程の台傘がさしかけられ、神主にも同様の台傘
がさしかけられる。

    午後2時  行列の出発  行列の先頭は、塩桶を持ったオカヨが、榊で塩
水を振り清めながら歩き、トウバモトの子供が7
本程の旗を持って続き、さらに、楽士の笛・太鼓
・鉦のお囃子、トウバモトの人が担う御供櫃、白
い布で包んだジンドウサマの面を左手に抱え右手
に御幣の付いた4尺程の梅ノ木の棒を肩に載せた
御供所係、その後に、大宮司、小宮司、神輿、神
主、区長、総代、トウバモトの人々、一般の参詣
者と続く。

 神輿の脇には鉾立てと傘台が付く(かつては、
先頭のオカヨと旗の間にケヤリガ入った)。

※御供櫃の中には、御供と共に、大宮司、小宮司
の手で作られた人形とマクワウリの輪切りもおさ
められている。

浜殿  社殿裏手50mほどの海に面した場所。5m×
10mで周りを石で区別してある。

浜殿での配置他  前の日に、トウバモトにより四隅笹竹が立てら
れ、注連縄が張りめぐらされる。

 オミユキの行列が到着すると、オカヨが榊の
枝に塩水をつけて振り、浜殿を清める。

 旗は浜殿右側に立て、旗を持ってきた子供はそ
の傍に立つ。 お囃子は、浜殿左の入り口当たり
に立つ。右側に区長・総代他が並び、御供櫃は、
中央神輿台の左に置く。
ジンドウサマの面は、梅の棒と共に神輿の前の台
に置かれる。太刀や金属の御幣神輿台に置く。

 御供所係とそのスケは、御供櫃から御供を出し
大宮司・小宮司はそれを神輿の前へ並べ供える。

祝詞・玉串奉奠  神主が祝詞を奏し、玉串を奉奠する。

神楽  オミチュウドの中のリガクシの役(吉武氏・中
村下組)が出て神楽を舞う(平服のまま、5分程
度の神楽)。

獅子舞  旗持ち以外のトウバグミの子供が獅子舞をす
る。
獅子は、頭と尻の二人一組が二組。鬼は鬼の面を
つけた子供二人の計6人。
 獅子舞は、鬼が獅子に征せられて終了となる。

チノワクグリ  神主が、浜殿内でトウバモトの人で持つ、股に
なった木で支えられている輪を潜れば命が延びる
等の効用を説き、神主・大宮司・小宮司・宮付・
オカヨ・区長・総代が輪をくぐる。

 続いて、輪は、浜殿の外に出され、トウバモト
の人々・一般参詣者がくぐる。※輪をくぐると病
気や怪我をしないといい伝えられている。

オミユキ(戻り)  これらの神事が終わると、御供えは御供櫃にお
さめられ、諸道具共に、元来た道順で神輿と共に
宮へ戻る。

神移し  神輿は、神移しによって御神体である鏡を移さ
れ、神輿はトウバの人の手によって神輿庫へおさ
められる。

直会  神官・宮付・区長・総代が列席して、社務所で
直会を行う。膳部は、ヨドの直来とほぼ同じであ
るが、五目寿司が出される。麦酒も出される。
 昔は、オヤワンと呼ばれる椀に三杯飲むのが宮
の決まりだった。

終了  直会が終わると、御供所と祭場で生活していた
オカヨの諸制約は解かれる。

 御供えは、トウバモトで分配される。