kebesu-e 櫛来社のケベス祭
白地 黒地
2009/10/14・15

直会(なおらい)

ミヤノボセが無事おわり、御供えや諸道具が御供所に納められると、しばらくして直会が始まる。御供所南側の部屋に区長他トウバ組が集まって簡単な食事をとる。
一般的な直会は、神事が終わり、御供えした物を皆でいただき、すべてが食べられる物を供えた事を証明し、また、神と同じ物をいただいて、神に近づく為とされる。
ここでは、これから始まる行事の前の腹ごしらえの意味合いだろう。時間にして30分ほどで直会は終わった。

直会が終わると、神官、神主並びにトウバが揃ってシオカキに行く。シオカキは、全裸で海に入り海水で身を清める禊ぎの儀式である。シオカキの場所は、決まっている訳では無く、神社裏手の浜でその年毎に場所が選ばれる。


シオカキ

私は、少し早めにシオカキの場所を教えて頂き、そこで待つ事にした。強い風を防ごうとウインドウブレーカーを着て、帽子の上からフードを被って歩いていると、シオカキの場所の手前に二人の先客が立っている。
もしかして、池田さんご夫婦。間違い無く国見町の池田さんご夫婦である。私がちょっと覗き込むが気づかない。堤防に登って、上から覗き込んでいるとやっと私に気づいてくれた。夫婦仲良くケベス見物とは羨ましい。

秋のつるべ落としである。暗くなるのが早い。少し雲があったせいもあるが、シオカキの始まる午後6時半は薄暗く、風も強まって、やや肌寒い。
カメラのISO感度を6400としたが、絞り解放でもシャッター速度がどんどん落ちてくる。
数枚撮ってみるが自然光では無理になった。仕方なくストロボを装着する。自然光で撮りたかったが・・・

シシオカキがはじまる。全員、カメラや視線をもろともせず、全裸で海に入り、すべての罪や穢れを洗い落とし、身も心も清らかにして、神事に備える。

神官をはじめ、この祭りを支えるトウバの男衆がシオカキを行う。
小学生の松本君兄弟も元気よくシオカキを済ませた。
今年は、神社北西の狭い砂浜がシオカキの場所だった。

シオカキが終わると、また、元の白装束に身を包んで神社へと戻り、ケベス祭りと称される神事の準備が始まる。




シオカキを終えて神社の境内に戻ったトウバ達は、拝殿の前に集合し、拝殿の中へと上がって行った。拝殿の中では神事が一時間ほど続けられた。この間、中の様子は見ることはできない。

私は、同地区の知人にお願いして、その様子をカメラに収めていただいた。(国見町池田氏撮影)

拝殿の中の様子は、過去の記録書や地区の人の話によれば、神前にはお供えの八足が置かれ、その上には御供えが並べられる。塩・水・魚・ご飯・甘酒・鏡餅・オナワモチ・オクツガタ・橙(果物)・大根(野菜)・昆布(海菜)等。
八足の前には御幣が立てられ、その右手に三方(三宝)に載せたケベスの面と玉串が置かれる。


神前には、区長・社総代・宮司・他が連なる。
神主・神官のお払い、祝詞(のりと)、玉串奉奠と神事が行われていく。
玉串奉奠が始まると、トウバの人々は、襷を掛けて頭に火避けの布を巻く。(こう聞いたが、拝殿に上がる前に御供所で事前に行われた)
オカヨがトウバ組を代表して玉串を捧げ終わると、トウバの人々を神主が祓い、トウバ元がつぐ甘酒をいただく。続いてケベス役に甘酒をつぎ、それを飲み干し、ケベスの面を着けて衣装を着替え、神官によってケベスの魂を入れられる。

オカヨは、神殿を下り、若宮の前に積まれたシダに火を放ち、神主が火を清める。

いよいよ火の祭典が始まる。