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7月29日(月)今日から安岐町小川(こがわ)商店街の見立て細工(みたてざいく)が始まった。
旧暦の七夕祭りの一環として古くから行われてきた。そもそも、商店街の消費者への感謝のまつりでもあったと考える。それぞれの商店や数件の商店グループが世相を反映した人形や造形物を作成展示し、七夕飾りと共に商店街を飾る。
私の子どもの頃は3つの町筋の要所要所に見立て細工の展示小屋が設けられ、浦島太郎や菊人形、えびす大黒、天皇皇后等々・・見事な力作を見せてくれた。その七夕飾りは当時の私の目には仙台や平塚の七夕飾りのように賑やかに見えた。町筋には露天が軒を連ね、射的や飴、10円くじや煎餅など、子どもだった私には銀座や原宿と同じように賑やかだった。
あれから40年ほどの時間がながれた2002年7月29日の小川商店街の見立て細工を覗いてみた。
少しだけ目線の上がった私の目には懐かしさと侘びしさの二つの映像が見えた。
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誰から聞いたか、今日から見立て細工が始まる事を夕方になって思い出した。
ホームページに紹介しようとデジカメをぶら下げて農協の駐車場をめざした。
駐車場に入ろうと右にハンドルを切った私の視界に可愛い祭り半纏に豆絞りのむこうはちまきをきりりと締めた子ども御輿が飛び込んできた。
七夕祭りと御神輿の関係に少し頭を悩ませながら可愛い子どもたちを必死に追いかけた。 |
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「家内安全」「商売繁盛」と大きな声で祈願する姿に暑さも忘れた。
各家々をまわり、玄関先で祈願の声を上げる。祈願のかけ声をいただいたお礼に賽銭箱にご祝儀が入れられる。子どもたちの期待はお金よりジュースやアイスの方らしい。
「楽しい?」と声をかけたら首を横に傾けた。「無理矢理かり出されたかな?」には「うん」の元気な返事が返ってきた。何とも可愛い御神輿担ぎの子どもたちだった。
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本命の見立て細工を見てみよう。
農協終車場からゆっくりと商店街を西に歩く。
まずは宮田商店前に一つ。何とも想像のつかない黄色い人形を発見。
なんだろうと考えていると、宮田のオヤジが説明をはじめた。
頭はベッカムで・・、テーマは「アニマル界のベッカム」だそうな。理解できない”つくりもの”であった。
うーん・・難解。 |
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その他、各町筋の見立て小屋につくられた人形や動物はどれも似たようなもので、私の記憶にある力の入ったものは見られなかった。
ひょっとして、子どもたちの力作かもしれない。そうであればりっぱな作品なのだが・・ |
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私が歩いた18時頃は人通りはほとんど無い。
たった1軒だけ店を出している露天商のご夫婦は暇そうにおやつを食べていた。
話をうかがうと、「3年前もこんなもんだったかな」「ほとんど変わってないね」「人が少ないね」と笑った。
それでも私は昔懐かしい露天のくじ屋さんと奥さんの綿菓子屋さんをみつけて心は少年を取り戻しそうだった。 |
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そこ此処にぽつんぽつんと立てかけられたささ飾りがやけに淋しく見えた。それでも、写真だけは少しでも賑やかに撮りたいとアングルを工夫するが、昔の思い出にはほど遠かった。
誰もいない通りでも、それでも楽しかった。
一生懸命この文化をつなごうとしている若者の汗が見えた。
扉の奥には昔を懐かしみながら淋しくなった通りをぼんやり見つめる老人の目があった。
残す文化、残る文化、そして消え去る文化。
どうあるべきか「小川商店街 見立て細工」の文化。
私にもわからない・・懐かしさだけは本物だろう。
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