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全く手を入れずに今に残る商店街の道は、車一台がやっとの巾で家並みが続く。 私は漁港近くの老人ケア施設の駐車場に車を止めて、ゆったりとこの町を歩く事にした。 国見の商店街は伊美川の河口沿いに発展した典型的な河口都市。国東半島の海産物や農産物を大阪や京都へ運んで発展したのだろう。旧家には京都や大阪の雛人形や髪飾り等の高価な装飾品が残る。涛音寮(旧豪商の酒蔵を改装してギャラリーとしている)で見ることが出来る。 今日は、有名どころは目をつぶって、この町の懐中を覗いて見よう。 |
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昨日まで雨の国東半島。今日は真夏の太陽が照りつける暑い夏。 子どもたちは夏休みがスタートし、パラダイス2日目。 伊美川に架かる橋の上から覗くと川の中にはハヤが元気良く水を切って泳ぎ回っている。 鰻を捕る石積みも見える。 すみとおった水の世界が私を少年に引き戻していく。 |
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それぞれの扉の中にこの町の生活がある。 興味は、私を格子戸の中へどんどん引き込んで行く。外観からは歴史の中味までは見えてこない。格子戸を開けて、その空間へ頭を突っ込んで、空気を吸った瞬間に歴史の入り口が見える。少し勇気を出して、格子戸を開けて声をかけて見よう。年老いた声が歴史の扉を開けて迎え入れてくれる。さあ、頭を突っ込んで遠慮なく空気を吸おう。 |
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開らっきっ放しの扉の向こうは、外のまぶしい日差しで絞りきった瞳には光が足りない。 しばらくながめていると、徐々に様子が見えてくる。なんと、精米所。以前はどこの地域にも必ずあった。精米機や製粉機やローラーがあって、地域の人が必要なときに作業にやってきて、精米や製粉を自分で行っていた。 私も、父親について精米や製粉をした記憶がある。当時は滅多にお目にかかることのないたくましい機械がうなりをあげて動くのを見るのが楽しかった。 さすが、都会?。個人経営の精米所とは・・。 声をかけても奥の方で話し声はするが返事はもらえず、勝手に懐かしい空気を腹一杯吸い込んだ。機械は動いている様子は無かったが、私にはモーターが唸りをあげて平ベルトを震わせているように感じた。 |
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