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満天の星のエネルギーがすべてここに注がれて、大
松明に燃盛る炎となった。
燃え上がる炎は、激しく火の粉を放って暗黒の天を
再び満天の星空とした。
冷たい空気が燃えさかる炎に照らされて少しずつ天
空へとのぼり始めて修正鬼会がはじまった。
修正鬼会とは
国東半島の天台宗の寺院に伝わり、その趣旨は仏教
行事のみならず、正月行事や農耕儀礼がひとつにな
った祭典と考えられる。
国東六郷満山の修正会のおり、成仏寺が旧正月5日
岩戸寺が旧正月7日の両寺が隔年交互に行事を執行
している。神仏混淆の文化をうかがい知る貴重な行
事である。天台宗寺院の各寺伝によれば、各寺、各
地域事に毎年この行事を続けていたが、諸処の事情
により、現在は豊後高田市の天念寺と国東町の岩戸
寺、同成仏寺のみとなっている。天台宗の寺院には
修正鬼会に関する資料や面等が今も残されている。
両子寺や胎蔵寺でも多くの資料や面や道具を見るこ
とが出来る。
成仏寺の修正鬼会2002年へ
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岩戸寺修正鬼会解説より抜粋
鬼会の行事のうち最後の法華三昧大行法は、読経と立役動作か
らなり、特に鬼面の芸能は、招福除災の効験ありとされる。呪
師芸の一つとして、中世の芸能資料的価値はきわめて高い。鬼
会は、火と水の禊払いに始まり、院主とタイレシの結縁の作法
タイアゲ、罪障悔過の聲明が行われる。立役では、呪師作法で
ある鈴鬼の「鈴鬼九手秘伝」や災払鬼、荒鬼、鎮鬼の「三三九
度の法」が修される。その後、各家々を廻り加持祈祷をする。
国東修正鬼会の鬼は仏の化身であり、一切の行事が終わるのは
明け方となる。
当伝承は、昭和52年に重要無形民俗文化財に指定されている。 |
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昨年成仏寺の修正鬼会を見物して、国東の仏教文
化の神秘的な部分を垣間見た。
また見たいと思っていたが、今年は平日で会社の
勤務がある。諦めていたが、会社の仕事を終えて
から出かけることにした。18時過ぎに会社を出
発。燃料が少ないことに気づいて行きつけのスタ
ンドに寄る。そして、国東町の岩戸寺を目指す。
途中コンビニでパンと飲み物を夕食・夜食と思い
仕入れた。そいつを頬張りながら日の落ちた国道
213号線を走る。ほとんど通りの無い国道を波
の音を聞きながら来浦まで走り、来浦川沿いに上
る。 |
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会社を出てから約30km、時計は7時少し過ぎて
いた。県道に車を止めて、懐中電灯と軍手と帽子と
デジカメをポケットに突っ込んで岩戸寺への道を上
る。途中地域の人々に出会い挨拶を交わす。ほとん
どが高齢のおばあさんやおじいさんたちである。
杖をついたり、誰かに引っ張ってもらったり、楽し
い会話を交わしながら寺へと急ぐ。私も遅れまいと
必死でそのあとに続く。寺の入り口にある仁王に挨
拶をする時分には薄い頭に汗が滲んでいた。帽子を
脱いで見上げた空には満点の星がまるでプラネタリ
ウムの様にキラキラと輝いていた。 |
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そこから寺の方を見るとすで
に大勢の人が集まっている様
子がうかがえた。 地域
の人たちに続いて私も寺の講
堂へと進んだ。大勢の人々の
向こうに去年見た仏事の様子
が少しだけ見える。大勢のに
わかカメラマンがそれを取り
巻いて私たちの視界を遮って
いる。彼らの足の下から首を
突っ込んで見ると、僧侶の前
にひれ伏している鬼と書かれ
た白法被に身を包んだテイレ
シの尻が並んでいた。 |
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まわりを見渡すと、カメラマ
ン以外はほとんど地元の人々
のようで、その顔はきびしい
この地域で自然を相手に生き
抜いてきたおばあさんやおじ
いさん達だった。
年々観光行事化して行く伝統
行事もここ岩戸地区は今も地
域の行事で有り、無病息災、
五穀豊穣、国家安泰の重要な
地域行事だと感じた。
この行事の遂行には多くの人
々の協力と尽力と多額の実行
資金が必要と聞く。
来年もこの行事が続いてくれ
る事を願う。
そして、今日で会ったおばさ
んやおじいさんに次の岩戸寺
の修正鬼会に出会えることを
願う。
仁王の足下に腰掛けて楽しく
交わす話は今日の修正鬼会に
参加したお父さんか息子の勇
姿かもしれない。
その話に耳を傾ける仁王の頭
上には満天の星がきらめいて
いた。 |
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