←top akane-f 赤根 ぜんじょうまつり
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2011/9/10

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神踊りと称される供養盆踊りの準備が始まった。太鼓と口説きの櫓が準備され、太鼓の音にあわせて口説きが始まる。皆、櫓の周りを取り囲むように踊りの輪を作って行く。徐々に輪は丸く繋がって行く。

この踊りには、仮装参加に商品が出るらしく、遠くは福岡県からも仮装参加があった。地域の人たちも結構力の入った衣装での参加で賑わっていた。

口説きは地域地域のオリジナルがあるようで、少々下ネタ的な微笑ましい口説き文句も聞かせていただいた。

そうそう、この善神王祭の最後のお楽しみとして、抽選会がある。今年も、地域の商店他から沢山の商品が提供され、その抽選番号を記されたティッシュペーパーの箱をいただいた。
私は、190番だった。



9時に始まった神踊り(供養盆踊り)は、おおよそ30分程で終わり、仮葬参加の皆さんに商品が渡され、続いて皆に配られたティッシュペーパーの箱に書かれた番号で抽選が行われた。町内の商店他が提供した盛りだくさんの景品に皆の期待が集まる。

残念だが、私の190番は外れてしまった。

抽選で盛り上がっている後ろで、ドスンという音を立てて、大松明が倒れた。

時間は、午後9時40分。お開きのアナウンスと共に、抽選でいただいた景品と御利益をお土産に大勢の見物客はそれぞれ帰路についた。

残る行事は、隊列を組んで、善神王幟他を公民館まで戻す宮下りと、公民館でのお神楽である。


急ぎ足で、公民館に戻り、隊列の戻りを待った。やがて、太鼓と笛と鉦の音と共に、小松明や幟が戻ってきた。

幟は、公民館の庭先の幟立てに立てられ、古い箱は館内の祭壇に戻された。

再び、鉦と太鼓と笛の雅楽に最後のお神楽が奉納され、神官の祝詞で赤根善神王祭が終了した。

赤根地区公民館を後にし、一円坊社の前を通ると、消防服姿の人たちが、燃え尽きかけた大松明の後始末をしていた。
さて、明日からは、五穀豊穣・無病息災・家内安全・商売繁盛のご利益をいただいて、皆さん元気で仕事に精を出すことでしょう。


(あと書き)

今回の取材を通して、この祭りの継承に計り知れない苦労が有る事を知った。高齢化と過疎化による担い手の不足が一番の様だ。これは、国東半島のどの地域でも同様で、多くの行事が担い手不足から来る重荷で、取りやめになっている。されど、取りやめになって、ホッとする一方で、先祖が長い年月継承してきた行事や祭事を自分の代で止めてしまった罪悪感や、後戻りできない寂しさが大きな反省となって後悔する。一度止めてしまうと、その再興や復興には計り知れない労力が必要となる。
「また、やりたくなったらやれば良い」・・こんな簡単な事では再び祭事も行事も行う事は出来ない。
少々規模を縮小しても、続ける事を考えて欲しい。よそ者の私が言える事ではないが、我が集落も私も、多くの反省と後悔がある。

楽しく、懐かしく、そして、神とその崇拝を考えさせていただいた赤根善神王祭でした。
取材のご協力ありがとうございました。