尻付岩屋前の里道(未舗装)を山の中へと歩く。約700mほど林の中を歩くと、舗装道路へでる。この道は車でも行けるが、倒れた竹や木をこまめに除けないと車は傷だらけになる。また、舗装道路は、櫛海集落へ通じ、途中鷲巣岳登山道へも通じる。
今日の私は、ゆっくりと歩いた。シダの葉っぱの上にはゆっくりと羽を羽ばたかせてイトトンボが飛び交っている。きれいな虹色に輝く細い体が美しい。
森の谷側には椎茸の栽培用にクヌギの木がたくさん置かれている。
舗装路を左へ歩くこと200m足らずで山中へ通じる道が右手に現れる。よく見ると『大不動岩屋』と書かれた矢印道標が立っている。比較的広い道なので、車で来た場合は、ここに駐車可能。
ここから200mほど歩くと、大不動・小不動の矢印道標が立っている。小不動は左へ沢を渡って上って行く。大不動は沢を渡らずにまっすぐ道なりに歩いて行き、坂を登り切った所の左手に宝篋印塔があって右手の岩山の中腹に大不動石屋(大不動岩屋)が見える。 |
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大不動の石屋へ上ってみる。少々気を遣いながら険しい斜面を上ると大きくえぐれた岩の空洞がある。
その中に不動明王三尊が祀られていた様だが、今は小さな不動明王が祀られている。ここにあった不動明王は、西の尾根の向こうの谷の西方寺地区にある中ノ谷不動堂に祀られ、今も村人の信仰を集め、手厚く守られている。
空洞の中は意外と広く、畳にすれば10枚ほどの広さは有ろう。ここに白装束に身を固めた修験者達が蝋燭を灯し不動明王に向かって一心不乱に教を唱える姿を想像すると、一瞬自分自身も修験者になった様な錯覚に陥る。
涼しい洞内に腰を下ろして、目の前に広がる絶景を眺めていると目の前を太郎坊天狗が岩山の間を飛んで来そうな期待が高まる。
時折、ウグイスの鳴き声が響き渡って静寂の空気を震わせる。
少し離れた岩山から大不動石屋を眺めると、その形は観世音菩薩の目にも見える。 |