西の不動とは、国東町千灯地区、伊美川(いみがわ)の西に位置する鷲巣岳(わしのすだけ)と黒木山に挟まれた凹凸険しい岩場を称している。岩場には石屋あるいは岩屋と呼ばれる場所、並びに険しい尾根道が天台密教修験者の行場となっていた。
西の不動には、尻付岩屋をはじめ、大不動石屋・小不動石屋・大藤石屋・天疫神石屋・妙見石屋の六窟が旧千灯寺の案内板に紹介されている。(国東半島歴史と民族/梅原治夫著には、大不動・小不動・太郎天・尻付・行者窟の五窟と記されている。また、国東古寺巡礼/渡辺克己著では、大不動の岩屋・小
不動の岩屋・馬頭観音の岩屋・尻付の岩屋・太郎天の岩屋と記されている。) |
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それぞれの石屋には、石像や木彫の仏像を祀って、体力の限界に挑んで難行苦行に立ち向かった修行僧を守護していた。今は、それぞれの石像や木彫仏像は散在し、一部の所在が分かるのみとなっている。
太郎天石屋の太郎天像と小不動石屋の不動明王石像は千灯寺本堂に安置されている。また、大不動石屋にあった不動明王は、西の不動のさらに西の谷、西方寺地区の中ノ谷不動堂に安置されている。
また、鷲巣岳(わしのすだけ)の山頂には、社(やしろ)があって役の行者(えんのぎょうじゃ)を祀っている。 |