目次へ ・・・・・・ ・・・・・・・

sub3-48   2004年5月9日


国東半島の「おせったい」行事は、旧暦の3月21日に行われて来ました。「おせったい」とは弘法大使の徳をしのんで催す祭りとされています。

今年も5月9日(日)国東半島六郷のあっちこっちで「おせったい」行事が行われています。

今日は大雨の予報で「おせったい」が心配されました。
今にも泣きそうな空ですが、何とか我慢の様子です。

早速「おせったい」の取材に飛び出してみました。
おせったいの座元では、しるしに赤いノボリや旗を立てて、縁側や玄関先に弘法大師使の像を安置します。

私たち参拝者はここへお参りします。座元の人たちは参拝者の労をねぎらう意味でお菓子やジュースを配ります。
ずっと昔はうどんやヤセウマやおもちなどだったようですが、衛生面への配慮や準備労力の簡素化で市販のお菓子に変化して来た様です。
私の記憶では、おせったい菓子と言われる米の粉に砂糖とふくらし粉を混ぜて焼いた吹き寄せ風の菓子や煎餅と記憶しています。

母の時代には餅やウドンやヤセウマ(ちょっと大きめのきしめんに黄粉と砂糖をまぶしたような食べ物)だったそうです。

国東半島に伝わる昔ながらの行事です。


先ずは国見の櫛海からと張り切って出かけたんですが、当てはずれ。
ここは昨日すましてしまったとの事でした。

国東半島一の盛大なおせったいが行われると聞き及んでいましたので、一気に力が抜けてしまいました。

このまま帰路につくわけには行きませんので、夷谷方面から真玉あたりへ車の進路を向けることにしました。


夷谷ののぼり口にある集落の集会場にノボリが立てられて皆さんが大きな鍋でなにやら準備中です。
早速車を停めて取材の開始となりました。


時間は10時ちょっと過ぎです。
無理矢理弘法さんの像をみせていただこうと戸を開けていただき写真撮影を・・
おや?弘法さんだけではなく不動明王さんまで並んでいます。

ちょっと驚き・・お賽銭受けのお盆にはお米が入れられています。その中へお賽銭を入れるそうです。
同じ国東半島に居ながらちょっと異文化を感じました。

裏で仕込み中のげんきなおばさんに写真一枚をお願いしました。
それにしても何を煮るんでしょうね。
お釜でご飯も炊いていました。・・
いい匂いがしていました。



今度はどんどん坂を上って行きます。
ここには木浦松観音堂がある東狩り場地区です。
「おせったいがあります。」の手作りの素朴なかんばんに誘われて上って行きました。
そこは以前仁王さんを発見したお堂でした。
私たちの姿を見つけて老夫婦が近寄って来ました。老夫婦はここの地区出身の方で、今は小倉で暮らしているそうです。毎年おせったいの日にはここに戻ってお参りの人をおせったいしているそうです。
素晴らしい夷耶馬の景色をしばらく眺めて、少しだけお話をして・・良い時間をいただきました。

を越えて黒土へ抜けます。
ここには応暦寺や無動寺や椿堂などの点在する真玉町です。

応暦寺を少し下ると大黒堂が右手に見えて、たくさんの人が大きな袋のおせったい菓子を抱えて歩いています。
私たちも後に続きます。

この地域の人たちが管理する大黒堂でおせったいが行われていました。大勢の参拝客が狭い境内を今日は賑やかにしていました。
ここでのおせったいは冷たい麦茶とお菓子でした。


中の坊・・
無動寺の中の坊として不動明王を祀っていたお堂だったそうです。不動明王は無動寺に戻されて、その後中の坊の裏の岩に不動明王を刻んでお祀りしているとのことでした。
小さなお堂に集落の人たち5人ほどがお参りに訪れる参拝者に餅やお菓子のおせったいをしていました。
ひっきりなしの参拝者に汗だくでおせったいしている人々の顔は生き生きと楽しそうに見えました。



中の坊から2百メートルほどの畑の上に赤い旗を掲げたお堂が見えました。日頃はほとんど人通りも見かけない民家の間の道に参拝の人が列をなしています。勿論道路も駐車場と化してつかの間の渋滞。

早速その列に合流して私たちも見上げたその上に見えるお堂をめざして歩き始めました。

道路からは見えない家の裏の斜面には見事に大根やキャベツが見事に実っていましいた。

お堂の中には地域の人たちがひっきりなしの参拝客に出すおせったいのお菓子を準備していました。



一休み・・お堂まではまだまだですよ。 僕もいただきました。


安岐町両子地区
小さな倉庫でおせったいをしていました。
お寺の和尚さんご夫婦もおせったいにまわっていました。・・いい風景です。

大雨の注意報で心配された「おせったい」・・予報に反して薄日の射すおせったい日和となりました。

国東半島をほぼ一週して国東半島の「おせったい」を久しぶりに楽しみました。
なんと言っても、「おせったい」で出会う人たちとの和やかな会話が一番のようです。

懐かしい味のお菓子をいただいて、お茶をいただいて、道ばたに座り込んでお話を交換して・・
国東半島の素晴らしい行事がいつまでも続いて欲しいと思いました。
来年も会えると良いですね。・・・