目次へ 国見町の「おせったい」 内迫(うちさこ)と鬼籠(きこ)
sub3-a4 2012年8月19日 文字は、の等巾フォント(MSゴシック)でご覧ください。

国東半島は宇佐神宮と関わりのある天台寺院の影響が深い地域である。そんな地域にありながら、弘法大師祭の「おせったい」行事が行われています。
ちょっと不思議では有りますが、国東半島の「おせったい」を紹介します。

真言宗の開祖として知られる空海(くうかい、宝亀5年(774年)- 承和2年3月21日(835年4月22日)が入定した3月21日を縁日として、その偉業をたたえ、また、平和と繁栄を願う行事として「おせったい」が行われます。

縁側に弘法大師像を安置し、お参りに来る人々に「赤飯、うどん、ちらし寿司、菓子」などを振る舞います。おまいりの皆さんは、弘法大師像にお賽銭をあげ、おまいりをして、「おせったい」を受けます。

地域によっては、8月21日にも「夏のおせったい」が行われます。この理由はこれから調べて報告します。

近年は、会社勤めの為に、命日前後の日曜日に「おせったい」をする地区や家が多くなりました。
国東半島の多くの地域で「おせったい」が続けられていますが、その多くは、年一回3月21日です(前後の休日が多い)。衛生上の理由や負荷の軽減から袋菓子などに簡素化されています。今日は、いまだ、昔ながらの「おせったい」を続けている国見町内迫と鬼籠のおせったいを訪ねてみました。

空海・弘法大師とは、宝亀5年に讃岐の国(現香川県)で生を受け、修行の後悟りを開いた真言宗の開祖とされる高層。

延暦23年(804)遣唐使の留学僧として唐に渡る時、航海の安全を祈願して宇佐宮にお参りしたと記録にあります。また、弘仁14年(823)には、空海に教王護国寺(東寺)が与えられ、八幡神が勧請されたそうです。
承和2年に入定(にゅうじょう:真言密教の究極的な修行のひとつで断食し即身仏となる行為)しました。
宇佐八幡神の勧請により、国東半島地域は弘法大師とのつながりがあり、弘法大師信仰と「おせったい」がこの地で続けられているのでしょう。


内迫の「おせったい」
内迫在住の元浦さんにお誘いをいただき、出かけていきました。
国見町内迫は、国道213号線を国東町から国見町へ向かい、小熊毛手前の峠当たりから進行方向右手へ下ると直ぐの小さな半農半漁の集落です。戸数は14戸とうかがいました。
集落の突き当たりに「内迫地民館」があり、その直ぐ裏は綺麗な浜が広がっています。浜は、西にも東にも小さな半島があり、自然の良港との事。この港は浦部水軍の基地だったとの言い伝えも有るようです。今日、招待の連絡をいただいた元浦さんは浦部水軍の末裔かも知れませんね。

今日の「おせったい」の為に、内迫公民館で朝早くから集落総出でのうどんを打ち、うどんのだし汁や付け合わせなどたくさんの準備をしたそうです。

その様子を国見町の堀田富夫さんが取材撮影していただきましたので、紹介します。堀田さんありがとうございました。


お賽銭をそなえ、おまいりします。


公民館はおまいりの皆さんでいっぱいでした。


具だくさんのうどん・・絶品でした。


大盛りのおいしいうどんを2杯平らげた富夫さん。

美しい海・・昔は浦部水軍の基地だったかも?

それでは、堀田富夫さん提供の画像と情報で、「おせったい」の準備の様子を紹介します。

小麦粉を練って、うどんにします。 早朝のうどんゆで・・朝日が眩しいですね。


ゆであがったうどん・・良い感じです。


左から青唐辛子、ネギ、油揚げです。


柔らかくて磯の香りがしてうまかったヒジキです。


かぼちゃもおいしかった。


朝早くから頑張っていただいた皆さんです。
元浦さんをはじめ、内迫地区の皆さん「ごちそうさまでした。」
また、次のおせったいにもおまいりさせていただきます。とても美味しく懐かしい味のうどんをお腹いっぱいいただきました。

朝早くからの準備「お疲れ様でした。」

打ち上げのビールがさぞ美味しかったでしょうね。下戸の私ですが、美味しいビール片手に盛り上がっている皆さんの顔を思い浮かべて羨ましい気持です。

地域一体感は素晴らしいですね。「内迫のおせったい」をこれからも続けていただけますようお願いします。

ありがとうございました。次が待ち遠しい・・・

鬼籠(きこ)のおせったい


赤い「おせったい」の旗が目印です。赤い旗が立てられたら準備が出来ているので、おまいりし、「おせったい」を受けられます。お賽銭は決まりはなく気持ですが、感謝の気持ちを込めたながく続けていただけるようお供えしましょう。 おや、またお会いしまいたね。ここでもおかわりしていたようですが、お腹は大丈夫でしょうか?
そうそう、遠慮無くおかわりするのが礼儀のようです。お膳に着くと、目の前に3杯のうどんが並びます。残さずいただきましょう。


地域の人たちが汗だくで「おせったい」です。


上がり口で鉦を叩いて迎えてくれました。