2009年3月28日(土曜日)曇り ・・ 国見町 旧千燈寺址から五辻不動を歩く
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五辻不動 不動岩屋

絶景を背にして、五辻不動の岩屋へと歩を進める。近々補修された御堂がここまで上って来た私を迎えてくれる。

早速御堂に這い上がって不動明王に手を合わせて家内安全を願った。

堂内の天井に目をやると、諸々の祈願で奉納された華やかな色彩の天井画で埋め尽くされている。


堂内の様子を【古寺巡礼】では、以下のように表現している。

千年の祈りが凝ったこの山上の古びた岩屋は、きらびやかに荘厳され位階の高い僧の読経の声がひびくいかなる仏閣にも劣らない、心を呪縛するものがあるのであろうか。狭い堂内には、お籠もりする人のための、うす汚れた布団や煮炊きするための鍋などが片隅にある。敷き物はすすけ、内陣はほこりっぽい。どこか人間臭い堂内だ。それは俗界の苦悩をここに持ちこんで寝泊りし、不動尊に祈りつづける人間が時おりあるからだ。どんな煩悩、どんな心の痛みを持っておこもりするのだろうか。

お籠りだけではない。今も一年に一度、旧暦の一月二十八日には不動修法が盛大にとり行われる。
(昔は毎月二十八日に行われていた記録がある)
千燈寺最大の祭りである。この日は、善男善女が参詣し、狭い堂内に入りきれず、堂外にも坐りこんで導師が穫摩を焚き読経する声に唱和して不動を念じるのである。

また不動修法に引続いて星祭りも行われる。人にはそれぞれ運命を司る年星(本命星)があり、それが犯されると災いがあるとされる。それを除き福を得るために星をまつる修法である。

朝十時ごろから午後四時ごろまで祈祷は行われ、善男善女の祈りが熱気となって不動窟をおしつつむ一
日である。


k-planさんから提供いただいた不動修法の模様

今は、五辻不動尊(不動岩屋)春期大祭、おせったいとして、3月の第2日曜日に、護摩祈祷他が継承されている。
ぜひこの目でこの様子を見たいと思ったが、私の住む村の神社の大祭があり、見に行くことが出来なかった。
それでもと思い国東在住の山本さんことk-planさんにお願いしてその様子を撮影していただいた。
護摩を焚いている画像と村人の参詣画像他4枚を使わせていただいた。

しばらく堂内で読めない般若心経の文字を目で追いかけたり、天井の画を眺めたり、護摩供養の祭壇を見たりと天空の小堂の中を探検した。


燈籠の間に見える絶景を再び眺めながら狭い尾根の道を鎖を頼りに下る。もう一つ、御堂の裏手を巡って狭い尾根の下に出る道があるが、これも結構危ない。今日は一人なので、なるべく安全な道を歩くことにした。

無事五辻不動にのぼり終えて、帰路となる。さて、どう下るかだが、もう一度奥の院を通って、仁王さんに挨拶して、西行戻しを通って帰ろうと、元来た道を下って行く。なぜ、また同じ道を歩くかと言えば、途中でフクロウの巣を見つけた。この巣には二つの卵があって、親鳥が温めていた。もしかしたらその様子をカメラに納められるのではとの淡い期待が帰路を決めた。結果は、残念だった。私の足音を素早く察知した親鳥は、カメラを向ける暇もなく鋭い羽音を立てて飛び立って行った。

カラスの鳴き声が頭上で聞こえる。何事もなく無事に巣立って欲しいと願う。

あちこち道草をしながら、不動の橋に戻り着いたの
は午後2時ちょっと前だった。




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