sub8ti07



             砂烏



いいから お帰り 砂烏

という唄がある


あれだけ不吉な黒い鳥なのに どうしてか烏は唄のうけがいい


にわとりのする羽づくろいのように この烏はひとけのない浜へおり

てきて砂をはたく

ぼっこり羽が埋まると 嘴で羽のあいだをあせり からだに砂をまぶ

していく


啄木ならずとも

砂丘と

松林と

青海原は ひとに黙りこむひろがりをみせつける


空々漠々とした砂原が

渚で

海に真向うのは

互に異質で隣りあうもののはかりしれぬひろがりを思わせる

そのなかにきて 小さないのちを守ることがどんなことか


烏のあたまと くちばしのうごきが 砂に目をとめさせるわけだ