suc4-e03-yobuko   2009/10/11 佐賀県 呼子町      


佐賀県呼子町。玄界灘に面した漁業の町である。とりわけイカの水揚げが多く、その水産資源を活用した町作りでも広く知られている。呼子の朝市も多くの観光客を集めて有名である。

今日は、久しぶりにイカの活け造りをいただきに来た。ちなみに、この日いただいたケンサキイカの旬は、夏場と聞く。その理由はワタが太って身が薄い時期が旨いと言われる以外、調べてみたが分からなかった。まあ、今日のイカも美味でした。詳細は後ほど・・・・

我が家を8時に出て、12時に河太郎の順番待ち札青の09番を手に入れた。どれくらい待つのか尋ねると、2時間から3時間とのこたえ。

日曜日とあっては仕方ないが、3時間かけて来て、2時間半程待つだけの価値があるのかと思うが、他の店も試してみたが、ここ程の感激が得られなかった。私的には、3時間ほど待つ価値ありとしよう。これも自動車道千円均一の影響が多々あるようだ。



先ずは、唐津方面と書かれた道を上ってみよう。海に浮かぶ小島がよく見えるような気がする。ゆっくりと歩を進めていくとイカの活け作りと書かれたレストランがあって、ここも結構賑わっている。更に歩くと国民宿舎があった。その庭先を歩いていくと良い眺めが開けた。青い海に浮かぶ小さな島が美しい。その島に周りを観光遊覧船が白い波後を残して走り回っている。国民宿舎呼子ロッジの上は広い公園になっていた。海を眺めながら小池さんに電話した。

合理的な回転式イカ乾燥機。・・ハエも止まれない。猫もとれない優れ物。



路地裏探検


今度は、呼子の町中を歩いてみよう。狭い海沿いの町の裏手は直ぐに小高い山。狭い平地に軒を寄せ合う町は路地が家々の間を縫うようにつなぐ。そんな路地にも興味がわく。観光客が入り込んで歩き回るのは、ちょっと気兼ねもあるが、静かに?歩いてみようと路地に入り込む。

どこの港町も、路地にはいると猫の歓迎を受けるのだが、ここ呼子の町では珍しく猫をあまり見かけない。ちょっと奇異な路地裏探検のスタートとなった。
路地を歩くと、その町特有の臭いがある。呼子にも呼子の臭いがある。丁度昼時のため、良い臭いの他に家族団らんの賑やかな話し声も聞こえる。そんな生活を目の当たりに感じながら迷惑にならないように少し園ル気味に臭いと経験と家族団らんの話し声を楽しみながら歩く。

おや、やはりイカの町、こんな路地裏にもイカが干されている。

裏山の上にのぼる石段にたどり着いた。見上げれば鳥居がある。下から見えた神社だろう。登ってみる事にした。鳥居の額装には八幡宮と刻まれている。

境内に登ると、馬の石像があった。そこからは、加部島と加部島をつなぐ呼子大橋が眺望出来、眼下には呼子の家並みが一望出来た。

さて、馬は何を意味するのか?更に上に続く石段を上ると大きな社殿があった。大きな音で柏手を打って、参拝していると、奥で掃除をしていた神主さんがビックリしたように私をのぞき見た。・・ははは・・・申し訳ない事をした。



絶景を楽しんで、神様に秘密のお願いをして、再び石段を下って路地の迷路へ戻ろう。今度はどんな発見があるだろうか?

路地の真ん中に水路の蓋がある。この下には水路がある・・て事は、昔風に言えばどぶ板ってところですね。それから、赤く塗られたバケツが所々に置いてありました。この狭い路地では消防自動車は無理。非常時にはこのバケツが活躍するのか?まあ、活躍の事態にならない事を願います。それと、プロパンガスのボンベが路地に沢山ありました。炊事の火はこのガスボンベが主流のようです。窓の向こうでは楽しい昼食なんでしょうね。・・腹減った。

路地の角を曲がると呼子名物イカバーガーと書かれた黄色いバンが停まっていた。さて、佐世保バーガーは有名だが、呼子バーガー?食べてみたい気はするが、やはりイカは活け造りだろう・・

路地はちょっとだけ広くなった。ここからは商店街の様だ。大分寂れた商店街の通りかな?
継ぎ接ぎだらけのコンクリート舗装道路が良い風情。正面のタバコ屋さんも店番は見あたらない。自動販売機が店番のようだ。
ショウウインドウには妙な人形やおもちゃが並んでいた。


路地散策は結構楽しいですね。大きな建物の向こうに海が見えます。

向こうからフロントキャリーの自転車リヤカーに乗ったおばさんがやって来ました。荷物は大きなパラソルとトロ箱に入ったイカのようです。海辺の通りでこれから店開きのようです。ちょっと重そうな自転車リヤカーを一生懸命こいでいます。「こんにちは・・」と頭を下げると、緊張した顔を和らげてくれました。緑のエプロンに藤本の刺繍がありました。藤本さんかな?
結構便利な地域特有の乗り物があるんですね。ここへ来る途中、前輪がダブルになった倒れにくい一輪車?も見かけました。イカを満載しても安定して運んでいました。



空き家が目立ちます。この町も後継者不足かな。朝市は結構賑わっていると聞きますが、やはり地元の商店街は難しいのかな?

そんな事を考えながら歩いていると賑やかなお囃子が聞こえてきました。おや?その音のする方へ少し急ぎ足で近づいていくと、音は二階から?お囃子の練習か?なんととある宗教の昼のお祈りのようでした。

通りは、「備前国呼子港大綱引き通り」の表示がありました。

その下で、おじいさんが遠大に腰掛けて通り行く人を眺めていました。

路地裏探検を終えて、海辺の通りへ出てきました。
ここでは、観光客目当てのイカ売りの出店が沢山並んでいます。七輪を持ち出して良いにおいでい客さんを集めている店もあります。
今日は日曜日。子供達もお店の手伝いをしていました。
イカの他にトビウオの干物やイカの塩辛と言った水産加工品も並べられています。イカの一夜干しが5枚で千円が標準価格のようです。店の後ろでは、生のイカを開いています。それが店の横で干されて、そのまま店頭に並ぶ新鮮さでした。



そろそろ河太郎に戻ってみましょう。青の09番に近づいたか?
戻ってみると黒の70番台・・・黒が百番まであるとして、39番待ちって事ですね。少し歩き疲れたので、椅子に座って待つ事にしましょう。私が路地裏探検をしている間、家内と娘と娘の彼氏はここで待っていたんです。・・皆さん我慢強い。

そうそう、河太郎を少し紹介しましょう。今年の6月までは、ここの少し手前にあったんですが、道路の拡幅事業で、フェリー乗り場の跡地に移転しました。大きく立派な店になりました。本店は、博多にあります。地元の漁協の強い希望誘致でここに支店を出したと聞きました。

ただいま2時半。やっと青の09番が呼ばれて遅いお昼にありつく事が出来ます。「お腹すいた」・・・
定番のイカのお造り定食を注文しました。待つ事しばし・・(5分くらいかな)見事なイカが出てきました。げそは元気よく動いています。早速一切れ口に入れると、シコシコとすごい歯ごたえ。さすが新鮮なイカ。食べやすいように包丁が入れてあります。厨房をのぞくと手際よく仕事が進められています。
一階は入り口右手に厨房があり、オープンキッチン風で、中の様子をみる事が出来ます。客席は、中央に大きな生け簀があって、元気なイカが泳ぎ回っています。



食事の進み具合を見計らって仲居さんがげその調理を注文受けに来ます。げそは、天ぷらと焼きげその二通りの注文が出来ます。私たちは天ぷらのしました。もちろん半々の注文も可能です。
熱々があっという間に運ばれてきました。丁度良い天つゆに浸してパクリ・・旨い。ここ河太郎の人気の秘密がげその天ぷらと言っても過言でないくらい絶品です。熱々の素早さが良いのか、天つゆの味か?とにかく脂っぽさが無くて旨いの一言なんです。
是非お試し下さい。ただし、日曜日はお勧めしません。・・平日にごゆっくりと・・

熱々をほおばっているところへオーナー登場。昭和4年の生まれと聞きましたので、御年80歳かな?
げそ天ぷらの旨さの秘訣を聞き出そうとしましたが、あっさりと交わされました。変わった事は何もしてない。普通の小麦粉を使って、普通に天ぷらを揚げているだけ、それなのによそより旨いと言っていただける。ありがたいと・・・

ここへ移転した理由を尋ねると、道路の拡幅に掛かったとの事。バスの離合が出来ない理由だが、バスが離合に困っているのをみた事がない。それよりこの場所は、壱岐へのフェリーターミナル跡地だが、壱岐へのフェリー乗り場を他へ移す話は誰も知らない内に決まってしまったと話してくれた。何時までもお元気で旨いイカを食べさせて下さい。

どこから来たかの質問に、3時間かけて大分から来た事と2時間半待った事を話すと、申し訳ないと言いながら、大繁盛に笑みがこぼれた。

満腹満腹・・待った価値を十分に満たしました。
もう来るものか・・とはならず、また来ようと思う河太郎です。

さて、のんびりと海辺を歩いて帰りましょう。
満腹の腹をさすりながら潮風に吹かれる気持ちよさも味わう。

お土産さんの店先をのぞきながら、港町の風情も味わおう。岸壁から海ものぞこう。岸壁から海をのぞくと小さなメジナが泳いでいた。イカはいないかな?
お土産はイカの塩辛にしようと、ふと思う。・・なしか?