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            文殊仙寺をはじめて訪れたのは私が国東半島に戻っ 
            て2年ほど経った頃だった。当時は、国東町から狭 
            く曲がりくねった道を時折下り来る軽トラックとす 
            れ違う程度で、向かい来る車と離合すら難儀を強い 
            られる道だった。 
            今は、当時想像も出来なかったほど整備が進み、大 
            型バスももうじき苦労なく文殊仙寺の下まで入れる 
            ようになるだろう。 
             
            便利にはなったが、自然の奥深くにあった神秘的な 
            風情はどんどん失われて行く。いざ仕方ない時の流 
            れと理解しよう。 
            そうすることが、より多くの人に、このすばらしい 
            文化遺産を見ていただく事にもなる。 
             
            前置きが長くなったが、文殊仙寺の仁王は、少し下 
            から見上げる姿が良い。このアングルの写真を多く 
            見かけるのも納得がいく。自分の目で、ここに立っ 
            てみると良く分かる。スマートで無駄をそぎ落とし 
            た筋肉質な体型は両子山の仁王に似ているが、それ 
            よりもさらに切れを感じる。じっと下から見上げて 
            いると、今にも動きだしそうな気迫を感じるすばら 
            しい仁王である。 
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