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さるもどし



「ずく」の一種

かぎ型の嘴

ふとい鼻腔とまるい目

そのあたり四方を見渡すいちばん巨い高い樹のあたりに巣をつくり 日暮れ

から梢に姿をあらわす


えものは 群を離れる猿

蹴爪で まず目をつぶし 前足を嘴で襲う

さるもどしにやられた猿のあしは しびれてつかいものにならない

さるもどしにやられると どんな猿も声をたてなくなり 岩場をさがしてか

くれようとあせる

さるの死骸がひとめにつかないのは さいごがこうした死闘によっておわる

ことによる

木にのぼれない猿はひた走りに走る

群が枝によって移動するのとは対照的だ

猿はいよいよ群をはなれ

ただの一匹をよぎなくされる

どうもうな歯と こけおちたほおと すさまじい筋力のありったけが しつ

ようで からかうような「さるもどし」の目標にされる


死はやってくるものではなくて おいつめられるものになっていく