sub8ti87



迷いうそ



まるっこいからだっきと 房々した尾はうそそのもの 地肌のひくいところ

をくぐりぬけて へび ことりをとらえる とくに水の中での格闘が特技な

ところから 岸辺でとらえても 水の中にころげおちる


迷いうそが 川うそのなかで特異なのは 泡とたわむれるところ

えものをめがけると一直線にきえるが 満腹した迷いうそは いっぴきでい

つまでも泡をめがけて沈んだり浮いたり 飽くことがない


ちょっとしたものを投げこんで泡をっくってやると

チョロチョロ

藪かげから出て来て

浮沈をはじめ

いよいよ疲れると おなかを上向けて流れはじめる


こうなったら よほどのことでもないかぎりおきあがることはない

両あしをひろげ はなばしらを水面にしてくだっていく 本業に迷いがでた

からだというのだが 食うことしか考えないのは人間以外は普通なんだから

迷っているのは人間の方だ


うその基準は腹にあって 捕獲には絶対の自信をもっている 石油がなくな

るというのは何を基準しているのだろう