sub8ti85



拝殿ねずみ



前歯がつきでて 口腔がとびあがっている

ものをかむ音が野鼠の倍ちかい

社の拝殿に住み

板の間をほりかえすか

近郷の田の穀物をあらす


ひとめをおそれず

仕事をしているそばへきてものをさがす

追うと

白い歯をきっと出し

ブルブルと身ぶるいをする


掌にのせて出せば

近づき

尾の先をまいて

前あしでかきおろしながら食う


食いものがつきると

やにわにとびあがって ひとの鼻ばしらをおそう


油断のならぬ鼠で

なんど食べものを与えても にげるときは 砂やほ

こりをあとあしで蹴かけていく


拝殿のすずのうえにいたり

鈴のひもをのぼったり

こざかしい