sub8ti77
あのひと鳥 |
クルッ みまわすところを珍重される しぶいいろで 羽根は荒い わしのたぐいで どじょう かえるを食する 「あのひと鳥」というのは土地の呼び名で 古老のつけたものである こどもたちはみむきもしないが 十四、五ともなると 気のある相手にこの鳥のいるのを知らせる 相手は 鳥はみないでつれの方をふりむく あのひと鳥は けっきょく なにかのひきあいにされるので ひきあい鳥というひともある この鳥の去るのはたいがい冬のおわりで 花にうかれる頃には一羽もいなかったが さいきん残って年をこ すものがあらわれた |