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あのひと鳥



クルッ

みまわすところを珍重される

しぶいいろで

羽根は荒い

わしのたぐいで

どじょう かえるを食する

「あのひと鳥」というのは土地の呼び名で

古老のつけたものである

こどもたちはみむきもしないが

十四、五ともなると 気のある相手にこの鳥のいるのを知らせる

相手は

鳥はみないでつれの方をふりむく

あのひと鳥は

けっきょく

なにかのひきあいにされるので ひきあい鳥というひともある

この鳥の去るのはたいがい冬のおわりで

花にうかれる頃には一羽もいなかったが さいきん残って年をこ

すものがあらわれた