sub8ti71



金蛙



百万匹のなかに一匹は金蛙が生まれるという記録がある

ただ この蛙は なかなか育たないところから 生物学の万ではと

りあげたものがない

いちど この蛙のなき声をきこうというので五月から八月にかけて

毎夜田の畦ですごした人の話をきいたが 多分 あれではないかと

いうに止まった

金蛙は かたちの名ではなく 声の由来する名である なきごえで

しか見分けられぬ

ただ 金蛙がなく夜は 何百いても何千いても すべての蛙は金蛙

の方にむいてすわるといわれている

誰の子ともわからぬ金蛙にむいて 何千 何万という蛙が 闇の水

田で 方向をきめてすわりなおすというのは 想像しただけで壮観