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        砂利ねずみ



お宮の参道に住むごくすくないしゅるいのねずみで

参道の砂利をもりにはこぶ習性がある

あおきなどの株のそばに

五、六この砂利があるようなら

二、三びきは近くにいる

このねずみは

石で釣ることができる

できるだけよごれのつかぬ石をひもでくくり

やぶかげを引いていくと

かんぼくのなかからでてくる

耳がぴんくで

はなが白い

砂利を運ぶのはこねずみを育てるためで

小石のあいだに枯草をしく

森の下の湿気をさけるのだ

以前は河原にいたが

出水をさけ社にあがったのだという

神めくわけでもあるまいが

人々は

このねずみを別格に扱う

「しゃれねずみ」だ