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     いかりえび



ふねの「いかり」のように

テトラのさきにきてとまる

すみきった秋口

水平線に

よこながに

うすべにをさした雲のかかる季節

そこからうえが

気のとおくなる青だと

とうとう

夏が

おわった

入道雲の季節ではなくなった

この雲で

海辺も

暮れがはやくなる

山はどうなんだ

突堤のひとは

沖へむかった姿勢で

陸地をみかえる

そんな風物詩とは知るよしもなく

足下のテトラに

いかりえびは来ている

岩みみずの切れはしをおとしてやると

きぬのあしを波にゆらして

餌にとまったまま底へしずむ

それがまた

ふねの「いかり」によくにている