sub8ti53
だましえび |
だましえびがだますのは 五月のはじめだけである 柿の葉が出はじめると 海から少しはなれた農家の人たちが あみをもって えびをとりにでかける 漁師がとらないのは かさがあがらないのと値がしないためで だましえびをとるのは漁師の恥とされている とり方は いたって簡単で 満ち潮にのって浮いてくるのを網ですくいとればいい ちょうどごみが流れ寄るように えびが 死に体で入江にはいってくる 網でさわっても はねたりしないし 泳ぐこともない びくにはいるまでじっとだましつづけている ただ ま水につけると いっせいに底へもぐる べつに だましているとはおもえないが ひとは だましていると思いこみ そこへつけいって とらえる |