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        電線鼠




送電の鉄塔にも ろと状の金具をつけ 虫の電線に

近かぬそちをほどこしている


暗夜

ひそかにくさむらを出たねずみが

いくども

地表から金具までを行き来し

電線までののぼり口を探すのをみると

相手がねずみとはいえ

かわいそうになる


ねずみは

さしてひとの利益にはならぬが

目と

指とは

くらべもののないやさしさがある


人物のよしあしを

目や指やで判断するにんげんからは

うらやましく

ねたましい電線ねずみのみなりである


電柱から電柱までを

忍者のように

行き来した電線鼠


企業が

そがいするのは

住民だけではなかった