sub8ti40
かねたたき |
川べりの柳の木などにいる くつわ虫ににて かねをたたくような音をだす 硬質の 金属性 「つば打ち」という名もある その昔 この音をきき違えて 相手を切ったという武士の話もある 「かねたたき」は もやのかかった夕日をみると 垂直に 上空へとびたっていく 二枚羽の蝶のかたちが ピアノ線で吊ったように消えてい くのは神秘でエキゾチックに思えてくる 暮れるということが 昇天に結びつくのは この虫の特性だ はじくように音をたて はりついたかたちで小さくなる かねたたきは どうして あんなきつい音をたてるのか かねたたきの羽は闇を吸うだけで 光はかえさない くらい虫である |