sub8ti38



             かわわたり




はぜの一種 どうもうで えらがふつうより三割方大きい 目玉がとびでて

いて泥土の上をはねて餌をとる


小竹の笹を切って餌にみせかけると とびついてくわえるところがら こど

もの遊び相手にされる 味はいいが みためがよくないのでこどもしかとら

ない


前日いためられた「かわわたり」は けっして同じ場所に翌日はいない ど

うもうなわりに身を守る


たたきといって 以前は竹でたたいてとる漁がおこなわれた 用具のない頃

のおあつらえむきの漁で いかにもおおらかで野趣にとんだ風物詩であった


父親がたたいて こどもがひろう 二、三匹もとってみせると すぐにおぼ

えておいかける


かわわたりのいるところには それにふさわしい土地の人が住んでいた