sub8ti23



           するめうなぎ




あたまが するめいかににている

田のあぜの下の方を

小溝にむけて穴をほる

みみずではつれない

生きたエビを

流しこむように穴のふちにおとしこむと

スウーと いかににた頭がのびでて

一呼吸でかくれてしまう


穴はあたまでも堀るが

少しのすきまがあれば尾でこじあけていく

田のあぜの下の方は

湿地になって

浮いたところがおおいので

するめうなぎの釣りは一瞬の呼吸がいる

穴に尾かあたまをかけられてはまず引きあげることはできない

するめうなぎはかにを追いかける


苗代水を張ったつちくれのあいだを へびのような波紋をたてて泳いでいる

のはこのうなぎだ

からすがそこをおそうが

尾が何かにかかると容易でなくなる


水田で死ぬからすは

するめうなぎでしくじったものだ

みずたにうく鳥を土地の人は凶事のまえぶれだときらうが

ぬれた羽は凶事でなくても

とりはだだつ
そして

その羽の下にたいがいうなぎが一匹かくれている