sub8ti18



            うみぶた




魚釣りは気ぜわしい

海のなかははりにかかる魚のやまで はやいものがちだという考えがのか

ないほかの十分の一でしかけをして 百分の一の時間でつりをはじめたい

気がしている


そんな釣り好きが

突堤の先端でみかけるようになったのが「うみぶた」という こどもぐら

いの大きさのいきものだ


いつから住みついたか 一頭で ひとかげをみると スルスルとかくれた

りザボーンと水中にとびこむ


夕方

風のないだ五月

突堤の先に子どもが腰かけていると思っていると いきなり水煙をあげて

とびこみ さては自殺と走っていくと 波間に 肌色の まるい頭をした

「うみぶた」が泳いでいたという


近海には「うみぶた」の記録はないが 外航の船員でももってきて捨てた

のか にげだして残ったのか「うみぶた」は まだ なんとなくなじめぬ

生きもの「異胞人」といったところだ