sub8ti17



            飛び猫




医者にいた猫だという

薬のにおいにすいていて 夜は薬店の戸口にねている

ひるまは

こわいものをしらず

なにをされても耳を伏せるだけでこえをたてない

いたずらずきのこどものへったこのごろ すぐ内ぶところに顔をいれて目を

とじるところがら 「ねむり猫」といってかわいがられた


大きさは白兎ぐらい

まるまるふとって走らない

顔をよせると 猫もほおをもたせてくる

こどもたちは順番をきめてつれかえりマスコットにしてかわいがった

机のはしに 小さな敷をおくと いつまでも勉強の相手をしてすわるという


ところが

誰かが猫に空気銃を撃ちかけた

弾はささらなかったが

猫はひとを信じなくなり

屋根から屋根をわたり歩き 夜になると瓦をはいでおとす

おとした瓦から つぎの瓦をおとしたところをめがけて飛ぶ

ドスン ドスンという物音を まちの人はきかされた