sub8ti14



             雲切り




単なる妖怪

しばらくはそういって片づけられていた

生きものと 物理現象 それに化学変化

にんげんに考えられるのは それくらいだったからだ


雲切りは生きものではない

生殖はしないし 消化器も呼吸器もない

物理現象といえないこともない 現に磁石は引きあい反発しあうのだから

化学変化 それもあやしい


雲切りは群れていて

飛行物体にとびかかり 一秒の千分の一以内に大気にかえる力がある

当然レンズでとらえられる速さであるが 飛行中のレンズは大気にかえられ

るため 撮影ができない


かなりの高度


だいたい一万メートル以上におり レーダーでは雲になってとらえられ 雲

との区別はつかないが レーダー写真と視覚の雲とを見くらべることで そ

の存在が説かれはじめた


雲のなかにはいらないでおこるエア ポケットのうちに雲切りがある

消えた航空機はS・Fでなくなった