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           あかみみず




ながさはひも状でかなり

「ひる」ににて伸び縮み自在

太さはふつう番線の何十分の一というところ都市下水のなかに湧きほと

んど光を必要とせずコンクリート壁にのこった番線に一方の端をまきつ

けている

ちょうど

赤いソーメンがひっかかったかんじ


発見当初は残滓ぐらいに考えて気にとめなかったが これを食べる鼠が

みつかって 生きものであることが確認された


いまは別にこれということはなく

ひとめにつくものでもないが

これを食う鼠が いずれふえることは予想される


多量にありあまる「あかみみず」 それさえあれば生きられる鼠 広く

縦横に完備した地下の下水施設 そして めったに人のこない地帯


考えようによっては条件はそろいすぎている


「ひとくい鼠」にくいあらされた屍が下水のなかをながれていく光景だ