sub8ti04



             居待ちたぬき



見られたのがわかると現れない そっとしてやればきまった頃に現れて

じっと居待ちをつづけている


たぬきばやし だの はらつづみ だのは童話・童謡だが 居待ちだぬきを

みつけた古人の連想かとも思われる


居待ちたぬきがあらわれるのは ふつう 上り坂のみちばたか 見とおしの

きく山の斜面か ともかく平地にでることだけはない


お寺の庭にでるたぬきとは別である


居待ちたぬきは いつびきが多い こだぬきよりは おおきめのたぬきのこ

ことが多く あかりをすかしたからだは まるく毛なみがいい


もの音に ひどく敏感で 少しのことにも すっと姿を消す どちら側へ

いつ消えたか見定めることはむつかしい


居待ちたぬきの出た場所へいってわかることといえば かならず三方がひら

けていることで みるによく かくれるによいてんだ


何を待っているのか ただ それだけがわからない