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             一列みみず



燐光を放つ

夜行性のみみず

昼は小豆大の穴を堀って地中深くもぐり 夕方 穴の口にまるめた土を四、

五こつきあげてころがす これが出てくる合図になる

一説には あずき大のしめった土のころげぐあいで 地上の湿り 自分等の

侵出の刻限を知るのだとも言われる


一列みみずは どちらかというと硬めのところにいる とうぜん地上に出る

のは雨のあとに限られる からだはかたく とくに頭部は切れにくい みみ

ずのなかでは中位の大きさで 水のなかでもかなり泳ぐが 浮いている時間

は短い


闇の坂道を

光る電線になってすすむ

ゆっくり歩くひとには追いつくはやさで気味がわるい「谷渡り」ともいわれ

ている


くつでふむと 燐光がまわりにふちゃくし 一列みみずは みるみる靴をめ

がけてやってくるところがら 光と進行方向の関係がうかがわれる


「ポソッ ホソッ」

と崖をおちるのは「花火みみず」といってもいい