sub8si39
村
ひとりずつ去り
ひとりずつ死に
手を握ってわらった老人もいまはいない
ひとりずつ去り
ひとりずつ死に
麦の穂の中を家族のことを思って勤めに出る
自分もいずれ死ぬ
子を育てた田の蛙
子と並んで座った電車
いずれあれたちのそばには別のものが座る
見慣れた家 屋敷に陽が当たって
違った顔が
出はいりし
茶碗に盛ったものを食べていく