油絵を習い始めた。理由は写真では表せない何かが絵画にはあるような気がして。
一枚目は、女子高校生相手に、お互いの顔を描きあった。
太くて毛の荒い筆と、粘性の高い油絵の具と、ざらついたキャンバスは、「描ける
ものなら描いてみろ」と、私の前に立ちはだかる怪獣のようだった。
画材以上に、テーマがもう一つ。それは、可愛い女子高生の顔を見つめること。
巨大な断崖絶壁の前に立たされた瞬間頭の中は真っ白では無く真っ黒になった。
とにかく2時間の教室時間が早く終われと思い続けた。可愛い女子高生の顔をチラ
チラ見ながら、彼女の目や鼻や口とは関係なく、私の脳が思う鼻や目や口をガサガ
サしたキャンバスにベトベトした泥のような油絵の具を塗り付けて行く。
何度かの教室日の後、私的に完成した画は、彼女のはつらつとした若々しさなどは
どこにも感じないものだった。どうやら、シャイな私は、他人様の顔を描くなんて
無理なんだよね。
次のテーマは自画像。これなら、相手の顔を見るのに遠慮は不要。課題は、画材と
の戦いとなる。これも大きなテーマだが、なんとかそれぞれの性質を理解し、使い
こなせるレベルに向かって戦おうと思えてきた。 |
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