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職人/10月26日



職人という言葉と、職人は人にカンコツを教えない。仕事のやり方は見て盗め!

テレビから聞こえて来たこんな言葉が気になった。

う~ん、さて、本当か? 少し考えてみよう。

職人は、堅物で、頑固で、プライドが高い。元々こんな気質の人間が、自らの腕に

自信を持つのだから、高慢ちきになるのは当たりまえ。

そんな職人を目指す人間も、本質は同じ。そんな輩が、先輩の教えを素直に聞く筈

がない。先輩の仕事を盗み見ながら、自らの工夫を加えて先輩を越えようとくわだ

てる。要するに、それが師匠も弟子も分かりきっているわけだから、師匠は教える

なんてムダな事はしない。弟子も教わろうなんて微塵も思わない。これが職人の世

界。

実は、私も職人の世界に5年程身を置いた。入社早々先輩の背中を見ながら腕を磨

く毎日を過ごした。掃除の仕方から始まって、道具造りから手入れまでを学び、給

料をもらえる内容の仕事へとステップを進めた。先輩に付いて3ヶ月も経つと、何

とか先輩を追い越せないかなどと身の程知らずの事を考える。毎日、毎日考えてい

ると多少なりとも知恵が出る。そいつを試すがうまくは行かない。それでも諦めず

に繰り返していると、何十辺目かにちょっとだけうまく行く。更に繰り返している

と、一皮剥けてくる。そうこうしているうちに、先輩に追いついたり、少しだけ追

い越したりする技が出来る。

まあ、こうやって職人の世界は次に続く後輩を育て、大きく飛躍する職人技が生み

出されるのだろう。

いつの間にか、仕事の中身が変わって、職人から脱落した。されど、職人スピリッ

トは私のどこかに残っていると信じている。・・信じたい。

さて、何が言いたかったのか?