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いらない物といる物/9月9日



年と共に溜まってくるのが“いらない物”。

手に入れた時には“いる物”だったのだが、いつの間にか“いらない物”と

化している。

いったいいつから“いらない物”になったんだろうか?

“いる物”とは、使う物・使う価値のある物・持っていても価値のある物で、

“いらない物”とは、その逆で、置いておけば邪魔になる物である。

さて、我が家を見渡すと、物にあふれています。たとえば、お客様用の布団。

交通の便が悪かった昔に母が買った物だが、交通の便が良くなった今では、こ

の布団を使ってくれるお客さんはいない。ましてや、当時は良い品物だったと

言うが、耐え難い重さの綿花の綿布団を着せられた客人は寝られないだろう。

こう考えると、押し入れを占領しているお客さん用の布団は“いらない物”で

ある。それから、倉庫の中を占領している沢山の食器類。結婚式に法要に、季

節季節の村の行事に使われてきた大事な物である。陶器あり漆器ありだが、今

となっては出番がない。大枚はたいて、今は亡き祖父あたりが揃えたのだろう

が、もったいない“いらない物”である。されど、母にとっては幾度となく倉

庫から出し入れした思い出深い品である。それ故に捨てがたいのだろう。

“いらない物”には間違いないのだが、母の思いを考えると捨て難い“いらな

い物”なのである。

さあ、年をとって片付けるエネルギーが無くなる前に“いらない物”を整理し

たいのだが、家族それぞれの思い出がそれを邪魔して進まない。