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マスクマン/10月10日



私が今世話になっている歯医者さんにはじめて会ったのは1983年頃だった

かな。開業間もない頃飛び込んで、1000人目のお客(患者かな?)とかで

お口のケアセットをいただいた。薄いブルーのウエアに同色のキャップとマス

クの歯科医は、マスクを外してその記念品を私に手渡した。

マスクを外した歯科医の顔は若くはつらつとした美男子だった。

その後幾度となく治療をお願いしたが、マスクを外した彼の顔を見ることは無

かった。

前歯が折れたので、しばらくぶりに歯科医院を訪れた。駐車場に車を停めて歯

科医へ向かうと、歯医者さんの格好をしたおじさんが看板の掃除をしていた。

おや?先生は用事でもあって代わりの先生をお願いしたのかな?そう思って待

合室へと入り、診察の始まる時間を待っていた。

名前を呼ばれて診察の椅子に腰掛けて先生が来るのを待っていると、薄いブル

ーのマスクをした先ほどのおじさんがやってきた。

「こんにちは、**さん。」・・・・えっ、この声は斉藤先生。えっ・・・

約25年程前に見た歯科医の顔がそのままだと思いこんでいたものだから、先

ほどあった人物がこの歯科医院の主だとは思いもよらなかった。

マスクマンのままで良かったのかな?その方がなんか良かったような気がして

ならない。25年間の変化を一瞬にして見たショックが大きかった。