sub1a941
ゆっくりゆっくり/12月23日 |
300坪ほどの畑に柿木が植えられていたのだが、10年くらいほったらかし にしていたものだから篠竹が入り込んで占領されてしまった。 そいつを何とかしようと、11月なかばから竹のせいばいを始めた。 取りかかりは、長年染みついたサラリーマン気質でセコセコと気負い込んでア ッという間に息を切らしてダウンした。 畑のすみの石に腰掛けて脳に酸素を送りながらふと思い出した。 子どもの頃、祖父のあとを追って山仕事へよくついていった。祖父の山仕事は のんびりとしたもので、決して慌てることなく少し進めては立ち止まり、天を 仰ぎ、また進めては天を仰いで、それを繰り返すうちに山仕事が進んでいく。 まるでナメクジの動きの様にしか見えないのだが、気がつけば大きな仕事のあ とを残していた。当然、その当時思ったことではなく、当時の事を思い浮かべ ながら祖父の仕事ぶりを思い出した。 しばらく石の上で尻を冷やしながら乱れた息を整えた。 さて、焦ってみても息をきらすだけ、ならば祖父流の仕事を真似てみることに しようと、のんびりとした気分に切り替えて篠竹を切り始めた。 20本ほどを切ると、今度はその竹を集めて薮から引き出す。それをひと区切 りに石に腰掛けて大きく息をして、また20本ほど篠竹を切って、その竹を集 めて引っ張り出す。この作業をゆっくりと焦らずに繰り返す。 この作業を始めてからもうすぐ2ヶ月となる。 今日で、畑の篠竹はほぼせいばいした。 百姓の仕事にきりはない。それだから、祖父の仕事ぶりなんだと今思えた。 サラリーマン生活では、気づかなかった事を畑の篠竹切りで気づいた様な気 がして、イイ気分で篠竹切りを楽しんだ。 |