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技術の餌食/2006年2月18日



技術は、私たちの生活を便利に豊にしてくれる知恵。

ところが、その技術が産業の世界地図を塗りかえる事もあるんです。

例えば、S社が移動用録音機G型を世に出したのは昭和25年で重量は45kg。

その内部は、複雑な高精度メカと電子回路がぎっしり詰まって、ヘッドの位置調整

やバイアス調整やら、難しい調整機器と高度な技術知識と職人の細やかな神経と指

先の技を要求し、S社(東京通信工業株式会社)しか作れないものだった。

それが、カセットになって、多くの企業が参入し、さらに技術が進歩して、記録メ

ディアがRAMに変化した途端、複雑なメカ構造は不要となり、電子部品を組み合

わせる程度で、同じ機能を得られ、重さも数十グラムとなった。

その技術のおかげで、いままでは録音機とは全く関係の無かった企業が録音機を簡

単に作れるようになった。

莫大な時間と労力と資金を投入して、牙城を築き上げたと思ったが、新しい技術で

一瞬のうちに崩されてしまった。

同じような状況に成っていくカメラやフィルム。

このように考えると、技術って結構残酷なものである。

石油で走る自動車には不可欠なガソリン。そのガソリンを精製する精油所やガソリ

ンスタンド。

自動車のエンジンが内燃機関からそれ以外の何かに変わった途端に不要となる。

さて、次は何が技術の餌食となるのか・・・・