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雪のある景色/2005年1月7日




南国生まれの私だが、雪との縁は結構あった。

九州にありながら国東半島は年に数回の積雪をみる。

子供の頃の記憶では冬の大半が雪景色だった様におもう。

今年も正月元旦から真っ白な銀世界で国東半島の新年があけた。

雪・・何とも不思議なものではないか。

太平洋の水が太陽に熱せられて水蒸気となり、国東半島の上空で大陸

で成長した寒気に冷やされ六角形の結晶となって降り注ぐ。

山間に点在する寺院の屋根を純白に覆い、仁王の頭に雪の帽子を載せ

て、真っ赤なナンテンの枝を大きくたわませる。

さらには、山間部に住む私たちの生活道路を覆い隠して閉じこめる。

それを年中行事として、畑に冬の野菜を蓄え、暖房の槇を一年かけて

小屋に積み上げて厳しい冬を耐えて来た。

当時からすれば積雪の量も減少し、道路も広くなって、移動手段とし

ての車も普及して冬ごもりで耐えることも必要なくなった。

・・・そう思った。

雪の中を山間部に乗り入れてみた。

畑には雪に埋もれた白菜やダイコンが頭だけ出して並ぶ懐かしい風景

があった。

その畑へ続く新雪の中にくっきりと足跡が・・・

平成17年、今も昔ながらの生活を強いられている住人がいることを

知った。

国東半島の厳しさの中で生き続けて、田畑を守り続ける逞しい老人の

後ろ姿が雪の中にぽつんとあった。

高い杉の木に降り積もった雪が北風で舞い散る冷たい風景があった。