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久しぶりの平間/2004年8月29日



久しぶりに川崎市中原区の平間を歩いた。

私が上京してはじめてアパート暮らしをした町である。

人情豊かな暮らしやすい町だったので、結婚してからもこの町に住み続けた。

小さな駅から続く平間商店街にも思い出が多い。毎日通った銭湯の「平間湯」

もその一つだったが跡形もなく消えていた。

その風呂帰りに時折立ち寄った和菓子屋の「みよしの」では売れ残ったおにぎ

りやいなり寿司を時折いただいた。その「みよしの」も歯医者さんに変わって

いた。

そうそう、「新力」という駄菓子屋さんがあって、その裏がアパートになって

いて友人が住んでいた。そこへ遊びに行くたびに「新力」でパンやお菓子を買

った。

店主は顔の大きな角刈りのおじさんだったが声はその顔に似合わずちょっと高

くて親しみやすかった。おばさんは小さくて優しい感じの人だった。おじさん

は数年前に亡くなったと聞くが、おばさんの顔でも見られればと期待していた

のだが、シャッターが閉まっていた。

その斜め前のモスバーガーは健在だった。

商店街の外れに煙をモクモクとだしながら魚を焼いていた店も無くなっていた。


時の流れは思ったよりも大きく平間商店街の様子を変えていた。そう思いなが

ら歩いていたら、路地の隙間に「鈴木産婦人科」の懐かしい看板を見つけた。

長男を身ごもった家内に付き添って何度と無く通った小さな医院である。つわ

りのひどかった家内はずいぶんここにお世話になった。小さな待合室で家内の

診察を待った事を昨日のことのように思い出した。その息子も25歳。


変わり行く平間商店街を久しぶりに歩いた。

そうそう、風呂の帰りに毎日出会ったおでん屋の屋台に居た名物おじいさんの

あの湯気の向こうの顔も有ったっけな。・・・・

おいしかったおでんの匂いがふと鼻先を流れた様な気がした。