sub1622

芸術/2003年8月31日



ミレーの作品を見てきました。

芸術作品でも見て疲れた気持ちを癒そうと思ったんですが、・・

じっと作品と向き合っているうちに、絵が私を強烈に威圧して、

気力が薄らいで行くんです。・・心臓が止まりそうになるんです。


細かく計算し尽くされたかの様な緻密な構図。

その構図の中に、強烈に燃え上がる炎のような自己主張。

幾重にも塗り重ねられた絵の具の奥に閉じこめた強い情熱。

筆の毛の一本一本で緻密に置かれた絵の具の点が、光と影を重く

配して、その影が私の視線を吸い込んで行くんです。

視線だけではなく、私のエネルギーのすべてを吸い取らんばかり

に威圧し続けて、私の視線を離さないのです。

そこからやっと逃げだして、ギャラリーの中央に置かれた椅子に

腰掛けて床に視線を落とすのですが、気が付くと、薄暗いキャン

バスにまた視線を奪われているのです。

そんな私とキャンバスの間を大勢の人が通り過ぎてゆくのですが

どれも皆、ミレーを見た満足げな顔なんです。・・

私だけは、ミレーを見た満足感よりも、ひどく疲れて疲労感のみ

が残りました。

ミレー・・・不思議な画家だと思いました。

芸術って、戦いの果てにボロボロになった魂の入れ物じゃないか

と思いました。

私の人生のなかで一番疲れた一日でした。(少し大げさかもしれ

ませんが・・・そう感じたんです。)