sub1616

夏/2003年8月23日



今日は、朝から草刈りに励んだ。

家の少し上にある畑に柿木が20本ほど植えてある。

全く放りっぱなしにしてあるので、草や竹が伸び放題になり、柿の実が熟

しても畑に入ることすら出来ない状態と化している。

早速、エンジン付きの刈り払い機でその藪に挑む。

刈り払い機をはじき返す勢いの竹や草としばらく戦って、エンジンを切っ

てみると戦ったあとがきれいに開けている。

目眩がしそうなほどの暑さに、心臓が爆発しそうなほど早い鼓動で喘いで

いる。

そこらの石の頭に腰を下ろして心臓の鼓動を静めていると頭の上でクマゼ

ミが泣いているのに気づいた。

私が子どもの頃のセミ捕りの最大の狙いがクマゼミだった。クマゼミは高

い木の上の方にとまって、セミ捕りの私たちをあざ笑うように豪快な鳴き

声を響かせていた。そんなクマゼミに負けまいと、長い竹の先にクモの糸

をたくさん巻き付けたセミ捕り棒をそっとクマゼミの背後から突き上げて

押さえつける。こう書くと簡単そうだが、狙って捕れたのは10回で2回

かそこらだった。あれからセミ捕りなんてご無沙汰していたが、クマゼミ

のふてぶてしい鳴き声に昔を思い出して立ち上がった。木の上を見上げる

が、クマゼミの姿をどうしても見つけることが出来なかった。

あの頃に持っていた鋭いハンターの目をどこかに置いてきたらしい。

もう一度、あいつを捕まえてみたいと思った。もう一度あの頃の目が欲し

いと思ったが、無理だろうとも思った。

暑い天空に太陽よりもあついセミの声が響いている。