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電車に乗って/2003年4月12日



日豊本線のレールを走るワンマン電車に乗った。

JR杵築(きつき)駅から大分までの約40分間をレポートしよう。

杵築駅の自動券売機で大分まで630円の普通乗車券を1枚購入して改札を

通る。階段を上って3番ホームで電車を待つ。待ち人は3人のみ。

ふと、向かい側の竹藪に目をやると黒々とした立派なタケノコがみえる。

旨そうなタケノコを遮って2両編成の真っ赤な電車が止まった。

私は、進行方向の1両目に乗り込み、向かい合いのベンチシートの真ん中あ

たりに腰掛けた。2両の箱には仕切のドアはなく、後ろの箱も見渡せる。

私を含めて乗客は全部で6人・・ローカル線の旅が始まった。

もちろん、動力はモーターだから、快適に滑り出す。八坂川に架かる鉄橋が

近づくと大きな音で警笛を鳴らした。どうやら鉄橋や踏切やトンネルの手前

では列車が近づいたことをしらせるらしい。良くはわからないが、「電車で

GO」というゲームでも鉄橋とトンネルは警笛をならさないと減点される。

私が子どもの頃の話だが、・・母の実家がこの鉄橋のを渡る汽車の汽笛が聞

こえるところにあって、母の里帰りについて行った私は、夜中に聞こえる汽

笛の音がとてもわびしい音に聞こえた。「ポー」のポの音がいきなりではな

く、徐々に大きくなるのが何ともわびしく聞こえて、家に帰りたくなったよ

うに記憶している。

そんなことを考えているうちに田んぼ一面にややくすんだピンク色のレンゲ

草がみえてきた。国道213号線の下を電車は走り抜けて日出町へ入った。

工場の裏を駆け抜けて、田んぼの間を走る。だんだん夕暮れが光を奪って、

色の様子が分かりにくくなって行く。

車内の放送が次の停車駅である「大神/おおが」を告げた。すぐに電車は停

車してドアが開くと、暘谷高校の野球部員2人が乗り込んできた。ユニフォ

ーム姿のいがぐり頭は、片手にコーンアイスを持って、かじりながらベンチ

シートにどすんと尻をついた。もう一人もあとを追うように隣のシートにど

すんと尻をついた。途端、バッグから携帯を取り出してなにやらのぞき込ん

でいる。いがぐり頭に帽子をのせて、それぞれの時間を楽しみはじめた。

なかなか電車が発車しない。そういえば、電車の通過待ちの・・・と言った

ような気がした。日豊本線の大半は未だに単線である。

レポートはまだまだ続くが、これ以上書いても誰も読んではくれないだろう。