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古時計/2003年1月8日




大きなのっぽの古時計・・

そういえば、我が家にも古時計があった。

座敷の正面の煤で薄汚れた柱に掛かっていて、カチッ、カチッと振り子が揺

らすアンクルがガンギ車と噛み合って音を響かせていた。真っ黒に塗料が塗

られた箱がその音を共鳴させて、部屋中に響かせていた。

毎日、その動きが止まってしまわないようにネジを巻いた。松の木で作った

踏み台に上って、少し背伸びして、古時計の扉を止めているフックを外して、

そっと扉をを開いて、時計の一番下に置かれているネジマキをネジマキ穴に

差し込んで力一杯巻いた。もちろん、左右にあるそれぞれのネジを巻いた。

来る日も、来る日も、何があっても毎日巻いた。それに応えるように時計は

カチッ、カチッとガンギ車とアンクルを噛み合わせる音を響かせて、ボーン

と半の鐘を打ち、それぞれの時間の鐘を返してくれた。

大きなのっぽの古時計・・・我が家の古時計は一体何処へ飛んで行ったのだ

ろう。

http://www.cc.rim.or.jp/~bun/home.htm