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チャゲ/2002年9月13日


我が家の食卓のすみに小さな水槽が置かれ、ブクブクと空気ポンプ

が吐き出す泡が水面ではじけて音を立てている。

この水槽の主は雑種の金魚君。

名前は「チャゲ」。娘が中学校3年頃だったと思うが、犬を欲しが

って、それがかなわず金魚を飼うことになった。最初は5匹くらい

いたが、だんだん減って行き、新たに2匹の金魚がこの水槽に入れ

られた。二匹の金魚はチャゲとアスカと命名された。一年ぐらいは

二匹は元気に泳いでいたが何らかの病気でチャゲのみとなった。当

然、金魚の世話は娘の役目だったが、その娘が就学のためにこの家

を離れてからは私がその役目を引き継いだ。

チャゲ君は結構お茶目なやつで、私の姿を見つけると水面に頭を出

して立ち泳ぎし餌をねだる。金魚では大胆なパフォーマンスだろう。

かなり遠くからでも人の姿を見つけると激しく水面を泳ぎまわる。

餌のペレットを五粒ほど与えるとアッという間にたいらげて満足そ

うに水槽に沈んで行く。ここから先がこの金魚チャゲ君の特異なと

ころとなる。数分もすると水面に浮かんで白い腹を上に向け、ちょ

うど仰向けの状態で昼寝?をはじめる。たぶん、浮き袋の異常と思

うが当人(当魚)は実に気持ちよさそうにしている。しているよう

に見える。

少々水槽をたたいてみても驚く様子もなく、本当に昼寝をしている

としか思えない様子である。

知らない人が見れば死んだ金魚が水槽に浮かんでいるとしか見えな

いだろう。

こんなチャゲ君も一人(一匹)ぼっちの水槽の主となって2年ほど

になる。

一ヶ月に一度くらいの大掃除と、一日に二回の餌やりで元気な姿と

滑稽な昼寝でわたしたち家族を和ませてくれる。仲間を増やしてや

りたいとも思うが、長い間一匹生活に慣れたチャゲ君のストレスに

なってもかわいそうなのでこのままにしておこうと思う。すっかり

我が家の一員(一魚)となったチャゲ君。

いつまでも元気でこの水槽の主であり続けて欲しいのです。