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退屈しのぎ/2002年8月15日



私の国東半島は島。

取材も当然の事ながら野山が主体でここまで来た。

ものの見方は千差万別。

私の見方は囲いの中を見る目だ。

ここに来て、国東半島はまわりを海に囲まれた島ではなく、

海へと広がり世界へと続いていることに気づいた。

空から眺めた国東半島は間違いなく大海原に浮かび、その水

面も水中も世界へと続いている。

「鳥にもなれず、魚にもなれず、ただ歩いている」とお茶の

ペットボトルに書かれていた。

なんと的確に人を称した表現だろう。

私自身もただ歩く事しかできない人間。空を飛べたら、海を

自由に泳げたら世界の隅々までこの目でみて見たいたいと思

うときがある。

時折飛行機に乗って下界を眺めて鳥になった気分を味わう。

時折船に乗って魚を味わう。

でも、鳥にも魚にもなれない自分が地上に立って空を眺めて

ため息をつき、海を眺めて遠くをおもう。

エラが欲しい、羽が欲しい。

それが叶わぬならば、もてあます時間と経済的な余裕が欲し

い。そうすれば少しだけ鳥にも魚にもなれるかもしれない。

自分の遠い祖先は魚だったかもしれない、鳥だったかもしれ

ない。なぜ歩くことしかできない人間なんかに変化していっ

たのか。進化は必ずしも先へ進むことでは無いと思う。

でも、人間であることも悪くはない。